柏エシディシ

私がモーガンと呼んだ男/私が殺したリー・モーガン ジャズ史に刻まれた一夜の悲劇の真実の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
数多いるジャズレジェンドの中でも、僕の心のNo.1はいつだって、リー・モーガン。
もちろん、マイルスやトレーンは偉大だよ。
ブッカーリトルやケニードーハムのトランペットも素敵だよなぁ。
でも、やっぱりジャズの「カッコよさ」をいつだって1番感じさせてくれるのはリーモーガン。
そのカッコつけぇなスタイルはうるさ型のジャズ親父には飽きられてる感もあるかもしれない。
いなせなトリルにハーフバルブ。艶やかなハイノート。
それでも、いろんなジャズを聴いても、音楽の嗜好が歳と共に変わっても、やっぱり定期的に「Candy」や「Cornbread」を聴きたくなる。これからも聴き続ける。

正直、本ドキュメンタリーでの目新しい発見や情報は無かったのだけれど、映像や音声で当人達の証言を聴けるのは、やはり衝撃。

ジャズ本には定型の様に「愛人によって射殺」なんて書かれてるけれど、リーとヘレンは本当の意味でソウルメイトだったのかれないと思うし、だからこそ、その因果に複雑な、引き裂かれる様な気持ちになってしまう。

麻薬や交通事故によって唐突に輝かしい未来を閉ざされた同時代のミュージシャン達と比較して、愛によって救われて愛によって終幕するキャリアとは、一体全体どちらが幸せなのだろうか。

怖いもの知らずの10代のリーがブルーノートに吹き込んだレコードと同じくらい、ヘレンに救われたリーがライトハウスで録った後年のライブ盤がもっと愛おしくなる。
これからも大切に聴き続けたいと思う。
柏エシディシ

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