木野エルゴ

顔たち、ところどころの木野エルゴのレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
3.3
「5時から7時までのクレオ」の監督、ヌーヴェルヴァーグの一時代を築いたアニエス・ヴァルダと若きフォトグラファーJRの、写真と旅の途中にで会う人たちの顔をめぐるドキュメンタリー。

行く先々で出会った人々の顔や全体像を巨大サイズでプリントして壁一面に貼っていく。被写体になった人たちの誇らしげだったり恥ずかしがったりする表情が印象的だった。

ドキュメンタリー映画の巨匠アニエス・ヴァルダらしい現実にほんの少しドラマチックさを足したカメラワークがとても心地よい。55の歳の差を感じさせないような軽妙さ、それでいてきちんと相手を尊重している2人のやりとりが映画のいいアクセントになっている。

ジャック・ドゥミ、ジャン=リュック・ゴダールなど類稀な文化人と並んで映画を作ったきたアニエスと自由な発想で悠々と人の壁を超えていくJR、性別も年齢も考え方も違う2人の知的でウィットに富んだ素晴らしい作品だった。
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