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顔たち、ところどころのnagashingのレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
3.5
軽やかでしなやかでゆるやか。土地の記憶とそこに生きる個人の物語を可視化し、共有させていく素敵なドキュメント。人々の生き生きとした表情は、かつて映画巡業が地方にもたらしたであろう活況を思い起こさせもする。その対象はやがて彼ら自身の来歴へと向けられ、JRのサングラスから『5時から7時までのクレオ』『はなればなれに』などの名作を経由して、フランス映画の生ける伝説へ。パブリックイメージそのままの酷薄な皮肉屋としての印象を、カメラの前に姿を現わすよりはるかに強烈な形で刻みつけるラスボスっぷりは感動的ですらあった。Jの苛烈さとJへの感傷で痛んだ心を優しく包みこむ、まだ年若いJの誠意と友情にほっこり。
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