ムーミン一家が経験するはじめての冬。寒さの厳しさを知って、雪景色の美しさも知って……。
ムーミントロールの感じる率直な気持ちや疑問は、誰でも一度は思ったことがあるのに、いまとなっては忘れてしまっているようなこと。
それぞれのキャラクターや人間関係も豊かで、「ああ、こういう人っているよな」とか「怖そうに見えても本当はさみしいだけなのかもしれないな」とか、いろいろ思いあたるところがある。
あたたかさを求めているのに、すべてを凍らせてしまうモランとか、自分勝手なヘムレンさんと泣き虫犬メソメソのエピソードはグッとくる。
「論理」じゃなくて「物語」や「詩」の力で。クリスマスにふさわしい一作です。