ま2だ

ムーミン谷とウィンターワンダーランドのま2だのレビュー・感想・評価

4.2
ムーミン谷とウィンターワンダーランド、観賞。

素朴なストップモーションアニメの手法が、北欧の冬の厳しさと暖かさの双方をすくい取り、観るものの前にそっと差し出してくれる。移ろいと余白、そしてそれらと向かい合う人間のイマジネーションについての映画だ。

物語は、冬を他の地方で過ごすスナフキンとムーミンの別れのシーンから始まる。ムーミン一家は冬の間、冬眠して春を待つのだが、時折寝床を抜け出したムーミンは、自分の知らなかった冬の在り方に触れる、というのがおおまかなあらすじだ。

擬人化された冬の冷気、モランや氷姫、オオカミたち、そして見知らぬ者たちによるプリミティブな焚き火。ムーミンがはじめて知るものはどれも不気味さや恐ろしさ、厳しさをまとっているものの、同時にそれらの理りも共に描かれていて、やみくもに忌避の対象として存在しているわけではない。ムーミンはじめ谷の住人たちによるナチュラルな他者の受容は、子どもよりはむしろ大人の心に訴えかけるものがあるように感じた。

クリスマスがやって来る、というのをクリスマスさんという人物がやって来るのだと勘違いして歓迎の準備を進めるムーミン一家が可愛らしいが、これもまたユーモラスなやり方でクリスマスの本質を鋭く突いていて感心させられる。

季節の移ろいの中で、多様性や両義性、他者について学ぶ北欧の人々の人生観が色濃く表れた表現の陰影を堪能した。

吹き替え版しか観られなかったのだが、ビル・スカルスガルドやアリシア・ヴィキャンデルなど豪華声優陣の字幕版も観てみたかった。