泳ぎすぎた夜の作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「泳ぎすぎた夜」に投稿された感想・評価

秋日和

秋日和の感想・評価

3.5
もしも自分が6歳の男の子だったなら、たとえ夜中にポテトチップスが食べたくなったとしても、あんな風に一階まで降りていく勇気はなかったと思う。仮に自分がその作戦を実行したとしても、棚の高い場所にしまってあるお菓子の袋を元に戻すときも、椅子から降りるときも決して音を立てないように気をつけたに違いない。少なくとも、彼みたいに椅子から飛び降りたりなんてしない。
眠れない夜にはお絵描きをして、眠くなった朝には用意されたご飯に箸をつけずにソファで居眠り。お腹がすいたら、ポケットに忍ばせたミカンを食べれば良い(日頃はそんなことしないし、大人はなんていうか知らないけど、我慢できなかったら一房ずつ千切らずにかぶりついちゃえば良い)。みかんの皮が落ちても、それを食べる為に外した手袋が落ちても気にしない。
魚屋で、毎日のように市場に通うお父さんは朝が早くって、だからあの子は普段お父さんにあんまり会えないのかもしれない。だから寂しいのかもしれない。それでも彼は、そのこととは関係なく逞しい。その逞しさと言ったら、犬と吠え声の勝負をしても負けない程だったりする。
些細なことに注意を払わない、気ままな子供時代を最大限に有効活用している彼が少しだけ羨ましかった。前述の通り手袋を片っ方なくしたんだから、後で怒られるんだろうけど。でもあの子はたぶんへこたれない気がする。とは言え、子供が目をつぶっているときに注がれる親の愛情にはなかなか気づかないものなのかも。
雪国ならでは!なネタ(電車に乗るときに扉を開けるボタンがついてることや、車のワイパーを立たせておくことなど)もつまった良質な子供映画。キアロスタミとは違った距離感を保ちながら、無言で彼の冒険を捉えていく。
これと同じことを30過ぎのニートでやってみたい。
MikiKato

MikiKatoの感想・評価

4.3
真っ白い、ふっくらとしたゆきと肌
柔らかい水色の空に、りんご色のほっぺた

手袋落としちゃったし
車怖くて横断歩道は全然渡れないし
急な睡魔に素直にコットリしちゃうし
観ててふふって微笑む可愛さ。

お父さんの市場を目指す
目的はそれだけなのに
少年にとっては寄り道と発見の大移動
とりあえず無事でよかった
よく歩いたね、おつかれさま。
はしゃがない
櫻

櫻の感想・評価

-
窓辺を暗く染めていた夜空は、いつのまにか水色に変わったり、雲がもくもく白く覆ったりしていて、幼い命をやさしく照らしている。しろいものに命あれと、踏みしめられた雪は、ざくざくと音を立てて鼓動する。その足跡は、たくさんたくさん歩いた証。小さな体は簡単に埋もれてしまうけれど、夜を後ろに引き連れて、眠い瞼をこすりながら泳ぐ泳ぐ。空の光がだんだん薄くなってきて、後ろにいた夜が顔を出した。ながいながい一日だったね、疲れちゃったね、よーく休むんだよ。
『息を殺して』があまりにも好みだったので、慌てて五十嵐監督のその他の作品も借りてきました!

『泳ぎすぎた夜』
フランスの新鋭ダミアン・マニヴェルとの共同監督作品。(ダミアン監督作品未見です…)

これはですね…、

おはよう
幼い、まだ小学校入ったばっかりくらいの男の子が、その日は学校に行くのやめて、お父ちゃんの働く魚市場にひとりで行く事にした。上手に描けた絵を見せるために。
…大変だった。結局間に合わなかった。
おやすみ🐟

…というお話です。今作もストーリーがどうとかって事ではなく、ただ、主役の男の子が絵を描いたり、おミカン食べたり、犬に(!)吠えたりしてるのを見つめるだけの79分!…しあわせ。

舞台は青森。雪深い田舎の風景。お父さんはうんと早起きしてまだ魚市場に出勤します。
男の子は変な時間に目が覚めちゃって、ひとり薄暗い台所でお菓子ボリボリやったり、お布団の上にオモチャ並べて写真(多分おさがりのデジカメで)撮ったり、お魚の絵を描いたりしてます。あー、可愛い。
結局そのまま眠れなくて、朝の食卓でうとうと…。お姉ちゃんがお人形の着せ替えみたいに服を着せ替えてくれました。
お姉ちゃんの後をついて学校に行く…筈が、途中で道をそれて雪遊びを始めてしまいます。暫く一人遊びに興じた後、思いついたように駅に向かいます。

と、…言ってみれば、初めてのおつかいみたいなものなんですけどね、兎にも角にも主演の男の子の“子供っぷり”の良さにノックアウト(肘有り・首相撲有り)ですよ!変な姿勢で写真撮ってる時。電池が切れたみたいに雪に倒れこむ時。柴犬に吠え返してニッコニコの時。もう、完全なる可愛げの塊!
そして、その魅力を余すとこなく写し取る撮影の的確さたるや…。シーン毎の尺も絶妙です。ビバルディが流れる車中のシーン!ジャスト。予め正解が分かってるみたい。これは天賦の才と言わざるを…のヤツです。
廊下でポツンと佇むコロコロした柴犬がめちゃくちゃキュートです。このモチーフ、『息を殺して』でも有りましたが、果たしてその意図は?単に犬好き⁇

ストーリーはこの上なくささやかなで、他の多くの劇映画の様に主人公の男の子の成長が描かれたりはしない、…どころか始まりと終わりが円環構造なものですから、同じ事が繰り返される予感ばかり強く感じられてしまうのですが、それでもこんな事を繰り返してる内に、あの子は成長していくのだろうな、と勝手に親身になって目を細めてしまいますよね…。
閉じることによって拡がりは無限に。

共同監督作なので、全てが五十嵐監督のテイストという訳ではもちろん無いと思うのですが、前作同様、人を見つめる視線・対象との距離感といった“目の良さ”はビシビシ伝わってきました。やっぱり五十嵐監督相当に良いよ!
…あと、私は猫原理主義者ですけど、柴犬可愛いなぁ。まいったまいった。
じゅんP

じゅんPの感想・評価

3.8
どこまでだって歩けるんだ、この足で。
どこまでだって描けるんだ、この体で。
どこまでだって泳げるんだ、この頭で。

今日を生きたぼくの絵日記。
画用紙の端っこの先の先へ。
かほ

かほの感想・評価

3.9
小さい頃は、知らないところに行くのは大冒険で、ぜんぶが新しくて、ちょっとしたことで驚いたり怖くなったりこの世界を独り占めしてるような気分になったり、、わたしもそうだったな。
いは

いはの感想・評価

3.8
寒い 生きている
O2

O2の感想・評価

4.2
小さな男の子の、大きな冒険。
青森・弘前の美しい銀世界が
男の子の純粋さをそのまま写しているようでした。

久しぶりに歩いた小学校への通学路は、
大人になって「こんなに短かったっけ」
と驚いてしまう。

眠れない夜の長さ。
歩いても歩いても終わりの見えない長い路。
知らない場所へ踏み出す高揚感。

小さなころの忘れかけた感覚のカケラを思い出させてくれるような作品でした。

黒の柴犬ちゃんが可愛すぎるのも◎

出演者の方々が本当の家族四人って、すごい!
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