ゆっけ

ネリー・アルカン 愛と孤独の淵でのゆっけのレビュー・感想・評価

3.5
人にこう見られたい、理想の自分を偽って(盛って)でも注目されたいと思ってしまう方、もしくはその自覚症状がない人にすすめたい映画。

いわゆる現代のSNSの闇(承認欲求)と置き換えて考えても面白い映画だと思います。

仏文学界のマリリン・モンロー”とうたわれたベストセラー作家、ネリー・アルカンの生涯を描いた映画。

36歳という若さでこの世を去った実録ドラマということですが、実際の自伝的小説の分身(ペルソナ)が4人現れます。

小説家としてのネリー・アルカンは、人とコミュニケーションをとることが苦手で、常に自分が生み出す作品に対しての評価に不安を抱えて生きています。

そんなネリーを劇中では、「過去の世界(13歳の”イザベル”)」「現実の世界(セレブを演じる”ネリー”)」「小説の世界(高級エスコートガール”シンシア”、ドラッグにおぼれる”アミ”」と多くのネリーの分身を描きそれが代わる代わる見せていくという手法を取っているので、覚悟して真剣に見ないと頭が混乱すると思います。

できれば、HPなどで人物相関図を予習してみた方がいいですが、
「一体何を見せているか」がわかると非常に深い内容だったことに気づくと思います。

エロティックで過激なシーンが多いので、それは認識して観てほしいですが、かなり赤裸々に”女性の精神状態”が映し出され、ショッキングに思う方も多いかもしれません。自分は男ですが、女性の立場から見ると共感するところもあるのかも?

若さや美貌を武器に、周りから評価されることで、そこだけに着目して頑張ってしまう。当然、若さや美貌というものは時が経てば衰えていくもの。ただ、それは偽りの自分として人に見せないようにしていく。人からどう思われたいということに執着しすぎると結局、自分が何なのかわからなくなると思います。

ブルボンヌさんがトークショーで言ってたと思いますが、老いた女性もそれでいて魅力があっていいと思います。若さや美貌だけじゃないその人ならではの魅力ってあると思います。そここそ、きっと人に本当に求められることであると思いますし、アイデンティティだと思います。

小説家という、クリエイティブなことを生業にしている人は特に周りから大きなことが求められると思うので、その苦悩は大きいのだと思います。

それがエスカレートして、セックスやドラッグに溺れてしまう。最後は自分で命までも絶ってしまう。

いわゆる、凡人ではない人の悩み(人から求められるものが大きいこと)がそこにあるのだと思います。

SNSで、人に自分をアピールできる場が増えたからこそ、その場所で自分以上に見せ合うことが当たり前になって、飾った自分を演じて、無理をして疲れてしまう。
人から、「いいね」もらいたいから、演じるんじゃなくて、人に喜んでもらうためにする結果が「いいね」なんじゃないかなーと思います。

いいも悪いも、やっぱり人間だから、注目されたい、自分はここにいるよーって見てほしい気持ちは人それぞれあると思います。けれども、そこにとらわれすぎて本質を見失ったら、だめだよということを感じさせる良作でした。