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ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で/ネリー 世界と寝た女のSのレビュー・感想・評価

3.1
試写会にて。華やかさと地味さを兼ね備える女性の葛藤の話。心が重くなるような内容だった。前知識なしで行ったのでストーリー構成を理解するまでに時間がかかった。理解をした後は、あぁ、こういうことかと思いながら悲しいネリーの人生を見つめながらネリーと映画の結末までじっくりと本を読むような感覚で見進めました。

誰かと一緒に見て鑑賞後に感想を話し合いながら理解を深めたくなるようなそんな映画でした。でも過激なシーンが少し多めなので、家族では絶対に見れないな。笑

なんというか承認欲求というか、相手から自分がどう見られるか、どう感じられるかを気にしすぎても苦しいだけだな…前作よりも優れた作品は出せるのか、家の中では地味でも外では華やかに着飾った綺麗な自分、確実に迫る老い。周りからのイメージを崩さないようそれに常に答えなければならない。息苦しさと、それでも手に入らない本当の愛に虚しさをただただ感じてしまった。

ネリー本人と、物語の複数の女性の話が合わさって一つになるストーリー構成が、そのままネリーの人生だと思いました。本の中のあの女性達はみんなネリーとは別の人間だけれど、全く別だとは言えないから。ネリーの生み出した小説の、ネリーとよく似た別の人生を歩むネリーのような、不思議な感覚でした。この辺りは観た方でもそれぞれ受け取り方も違う気もするのですが、私はそう思いました。

真実の愛を求めながら、真実の愛をどこかで諦めていたように見えたので、周りが自分を華やかで美しい人だと思っていることに苦しみを感じつつも、自分も周りをどこか否定的な目で見てるのが負の連鎖すぎて苦しかったです。

もうほんとに、ただただ苦しかったです。ただ、この手の苦しい作品を年齢のうちに見れておいてよかったなとも思います。
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