ミヤザキタケル

友罪のミヤザキタケルのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
4.3
友罪
薬丸岳原作小説の映画化。

ジャーナリストの夢を諦め小さな町工場で見習いとして働き始めた益田(生田斗真)は、同じタイミングで入社した鈴木(瑛太)や先輩らと共に寮生活を送ることになる。
他者との関わりを極端に拒む鈴木に戸惑いながらも、同い年の2人は次第に言葉を交わすようになり打ち解けていく。
そんな折、鈴木が17年前に起きた連続児童殺傷事件の犯人“少年A”であることを知り、密かに鈴木の過去を探り始める益田であったが…。
抱えた罪や消せない過去に悶え苦しむ者達の葛藤を通し、人の心の弱さ・脆さ・醜さ・不完全さを描いた作品だ。

人はいつだって間違える
間違えない人間なんて1人もいない
子どもであろうと大人であろうと、その道理は変わらない
今を生きるあなたもぼくも、過去の時代を生きた人間も、この先の未来を生きる人間も皆同じ
間違えて、痛い目に遭って、後悔して、そこまでしてようやく学ぶ
学んだ経験の数々を糧にすることで前進できる
その繰り返しこそが人生であり、その積み重ねこそがより良き自分を構築していく

でも、全ての間違いを糧にできるとは限らない
時に取り返しのつかない間違いを犯してしまうことが、糧にすることなど許されない罪があるはずだ
謝っても済まされないこと、金を払っても解決できないこと、どれだけブン殴られても痛み分けできないこと、服役したとて帳消しにできないことが世の中にはある
どれだけ許しを乞おうと認められず、生涯抱え続けなければならない罪が絶対にある。

では、取り返しのつかないことをしでかしたヤツは幸せになってはいけないのか
人を殺めた者は、その家族は、一生日陰で身を潜めて孤独に惨めに生きていくしかないのか
そうじゃない
そうじゃないけど、誰にだって幸せになる権利はあるはずだけど、理屈では分かるけど、心ではどうしたって割り切れない
他人事で済ませる内は良いが、被害者側になれば許せるはずも無い

学校で何かやらかしたのなら、停学か退学になる
会社で何かやらかしたのなら、減給かクビになる
家族間で何かやらかしたのなら、離婚するか勘当される
日常において人を殺めたのなら、死刑になるか定められた年数を刑務所で過ごすことになる
勉強して再入学すれば、必死に就活して再就職すれば、再婚するか土下座してでも謝罪すれば新たな道を見出せもするが、殺人に関してだけは新たな道など見出せない
何を以って償い切れたと判断できようか
何を以って人の命の重みを量ることができようか
本質的には何も解決しちゃいない
人が1人いなくなっている以上、解決できる道筋などそもそも存在しないのだと思う。

誰にだって隠しておきたい秘密や、触れられたくない過去の1つや2つあると思う
人に知られでもしたら、恥ずかしくて情けなくてやんなっちゃうことがぼくにもあなたにもあるはずだ
俗に言う黒歴史
忘れ去ることができれば良いが、忘れることも向き合うこともできずにいればやがて己の人生を歪め始める
隠し続けている限り、真正面から人と向き合うことも難しい
かと言って、どう対処すべきかも、どう打ち明けるべきなのかも分からない
タイミングを見誤れば、全ての関係性が崩れ去る

想像してみて欲しい
あなたの最も親しい友が人を殺めた過去を隠していたとして、自分にだけ打ち明けてくれたとする
その事実を知っても尚、あなた達の関係性は揺らがないと言い切れるだろうか
人によって、立場によって、答えは異なる
「今は今」「過去は過去」と言えたら素敵だが、多くの人が今ある関係性と相手の過去とを天秤にかけてしまう
前者に重きを置けたら良いが、その場では置けるかもしれないが、再び揺らぐ日がやってくる
“犯罪者の友人”として見られるのではないかと、自分にも火の粉が降りかかるのではないかと、揉めた際には殺されるのではないかと不安を抱く
抱えた罪の重さは、自分も他人も縛り付ける
そんな重荷を共に背負う位なら、これまで築いてきた関係性を断ち切ることも選んでしまう
そうなることが分かっているから、容易には打ち明けられない
先延ばしにして、あわよくば幸せになりたくて、結局は多くを傷付ける
そうなることが分かっているから、前科のある者とは端から関わらない
ステータスや見てくれで判断し、打算的に関わる人間をチョイスしていった方が余計な問題を抱えずに済む
ぼく達はきっと、そんな風にしか生きていけない。

間違いは人を成長にも導くが、大きな間違いは人も他人も破滅へと導く
ぼく達は間違えてからじゃないと大事なことに気が付けない
けれど、大きな間違いを犯そうとしている者が発するサインにだけは予め気が付けていると思う
目を背けることをやめれば、勇気を振り絞ることさえできれば、引き止めることだってできる
これまで歩んできた道もクソみたいな過去も変えられやしないけど、これから先の未来だけはいつだって変えられる
必ずしも幸せになれるとは限らないが、最善の道を選んでいくことだけはできるはず

ミスリードの巧みさ、脇役を演じる俳優陣の豪華さ、倫理観を揺るがす人間ドラマ
瀬々監督作品はいつだって骨太で、エグい程に胸を打つ
観ていてしんどいのは必至ですが、ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★
恋 ★★
エロ★★
サスペンス★★★★
ファンタジー★★★
総合評価:A