TaiRa

友罪のTaiRaのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
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煉獄が舞台の群像劇。償えない罪を犯した人間の生について。

原作では同じ工場で働く人間たちの話らしいが映画ではメインの2人だけ工場勤務。主人公は友人となった同僚が過去に連続児童殺害事件を起こした犯人だと知る。瑛太の芝居は中々良いと思う。サイコパスです、と分かりやすくし過ぎては陳腐になる難しい役。『羊の木』で松田龍平が近い役をやったがあれとはアプローチも違う。生田斗真は感情を表に出す芝居が不器用。全体的に芝居がエモいのもあまり好きではない。佐藤浩市は良いのだが役としてはあまり活かせてない。交通事故で子供たちを殺した息子の父。原作から色々変えてるのか話として少し弱いし説明的。富田靖子の少年院の部分も説明的だ。直球勝負と言えばそうなんだが。センシティブな内容だけに声高な主張には危うさも感じる。役者では瑛太に次いで夏帆が良かった。幸福と無縁な女性が上手い。ラストの瑛太の芝居はかなり凄い事やってる。時間も場所も飛び越えた視線の交わりが良い。話らしい話が特にない変わったバランスの映画。問題提起が前面に出過ぎでは。

モデルは例の事件なわけだが、あの事件で殺害された少年の命日が5月24日。映画の公開日は5月25日。
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