「罪を犯した人間は許されてはならないのか」がテーマだと思われるが、モデルの事件が事件だけに「許されるべき」とはとても言えない。しかし、許されてもいいのでは……と思ってしまう描写の数々。最後まで複雑な思いを噛みしめて劇場を出る。
登場人物はみんな自己満足な償いで生きていて、誰にも共感できない。唯一共感できるとしたら被害者家族だと思うが、「もしも加害者家族だったら」の方に気持ちが寄りやすい。
子供を持ったらどちらにもなる可能性がある人生。逃げずに生きるのは難しいが答えが見つからない。
斗真の演技はストレートに心を打つが、瑛太がもうね……何考えているのか分からない男を最後まで何考えているのか分からなく演じる。上手いなんて言葉では表せない。怪演。
瑛太だから、「普通に笑って生きて行ってもいいよ」って、ちょっと思ってしまう。天才の妙。
ストーリー構成は、少し散らかった感じ。オムニバス形式でまとめるか、何か省いてA中心にした方が納まりが良かった気がする。