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友罪のKのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
2.0
「友人が過去に重大犯罪を犯していても、あなたは友達でいられるか」

重大な犯罪を犯す人の心理についてはこの映画では描かれないし、動機も当時の精神状態も描かれない。

この映画の原作が酒鬼薔薇事件から着想を得ているものの、この事件とは切り離して描かれ、かつ過去の事件の真相についても全く描かない上に、少年Aの名を使いながら人々(少なくとも私)が知りたい部分を描かないという裏切りにあった。

そして、この映画には色々な過去に犯罪を犯した人たちが出てくるが、犯罪の程度に限らず更正したとはいえ何事もなかったかのように幸せになるのは間違っていると私は思います。

生きるな、幸せになるなと言っているのではなくて、しっかりと本人が贖罪に向き合い生きる、佐藤浩市演じるタクシー運転手の生き方を、元犯罪者たちがするべきだと思いました。

そして改めて、元犯罪者の家族は言ってみれば何も関係ないのに大変な人生を送ることになる。彼らは事件後に家族に迷惑をかけることを想像できなかったでしょうか?

人を殺すということでしか何かを解決できなかった人たちが、たとえ少年だったからと言って果たして完全に更正されるのかがまず疑問だけれども、人を殺したんだから死ねともいえない刑法と基本的人権のジレンマがもどかしく、さまざまな凶悪犯罪の遺族の気持ちを思うと、いたたまれなくなりました。
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