あまのかぐや

去年の冬、きみと別れのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

去年の冬、きみと別れ(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

あまのさんて邦画観ないんですか?と、年下の上司くんにふられたのですが、そんなこともないですよ。あまりに対象年齢からはずれた内容でなければ、食わず嫌いしたくないし…と、いいたいのですが、…予告を見て「んー… ムリ!」ってのが多いこともあります。7割?いや8割?ぐらい?

お休みの日を使って、ちょっと気になってた邦画を観てみました。

おお、この人が今人気の「がんちゃん」なんですねー。ようやく認識。

しかし、まわりが濃い俳優ばかりのせいか、主演の岩田さんの印象が薄い。映画が終われば次の瞬間には顔忘れてしまいそう(相変わらず邦画の俳優には疎くて…ファンのひと、すみません)

考えてみれば、主人公が抑えめであることが、映画の仕掛けの肝となっているのかな、という気もしました。

ここから先、ネタバレです。






映画館で観ていればまた違うんでしょうけど、集中力に欠ける自宅鑑賞だったもので「二章」から始まったこと見逃していました。これ大事。第二章、第三章、そして種明かし的に序章があり 第一章 という構成。これは面白いと思った。よくあるけどね。見せようによっては面白くなったかもしれない。

登場人物がものすごーく少ないから、それだけに動機とか真相、なんとなく予想がついてしまった。

ただね、観ている側が、どこに視点を置くのか曖昧にしたこと(意図的にかどうかはわからんけど)で、誰の感情に重きをおいてみるのかも曖昧になる。そこがわたしが入り込めなかった理由。

特に、暗い過去をもつ謎めいた姉弟。冒頭の体温の低いじっとりした思わせぶり演技(近親相姦?そうでしょうそうでしょう)からの、後半に向けての何が目的かよくわからない、サイコパス度爆アゲっぷりな変貌に驚いた。「斉藤工、きもー、こえええ」という滑り出しから、幼少期から無感情なはずの姉の個性がしゃしゃり出て、がんちゃんにドラッグつかって「真実を知りたければ私と寝なさい」といいだしたあたり、「は?」。でした。…なんかそのへんからブレブレになってくる。

「弟がおかしくなるの」って姉がそれを手助けして、「朱里(姉)がおかしくなるの」って言って巻き込まれ編集者が朱里を助ける。「おかしくなるの」の理由づけが、父からの虐待なんだろうけど、ちと薄い。なんというか。サイドに落とすには重い話なんだし、もう少しなんとかしようよ。何となくすわりが悪いのよ。

芥川龍之介の「地獄変」を引き合いに出すぐらいなのにね。写真に撮りたいモチーフとして「火をつけてみました」ってのは、まぁわかるけど、蝶とか…いったいなんだったの?あわせて斉藤工の熱演の無駄遣いだったかなぁ、といいたいのですよ。

結局のところ、最後に残った「こえええ」は、ガンちゃん(役名は伏せる)の元恋人への異常なまでの執心と、その死への復讐(逆恨み?八つ当たり?)だったのかな。(彼女が、ガンちゃんとわかれて東京にフラフラ行っちゃったのは、ガンちゃんのせいだし、彼女との感情の行き違いのせいでもあるけど。よくわかりません…)

その一方で、すごいなぁと思ったのは、それぞれの役者さんたちが1本の作品の中で2つぐらいのキャラクターを演じている事。前述の姉弟はじめ、前半の二章、三章と、折り返して以降、編集者も、ライターも、その婚約者も、ガラッと別人格になる。それまでの性格はなんだったの?ってぐらい。婚約中の彼女に見えない山本美月は、単に演技が固いだけかと思ったら、そういうことだったのかー。

確かキャッチコピーは「すべての人が騙される」とかなんとかで、それを大々的に打ってたけど、ほんと、そういうのヤメテって毎度のことながら言いたくなる。

淡々とした復讐譚と、しっとり詩的な映像(恋人時代の金沢の海のシーンとかすごくきれい。すごい映像にこだわってそうだよね)それらを追う物語としてみれば「ああ、こった脚本だな」って感慨もあったかもしれないね。

実は原作を読んだらなんとか消化できるかな、と思い、夏の課題図書として買ってみたのですが、冒頭の中2病っぽい獄中モノローグですでにくじけてて先に進めない(笑)

映画というか、スペシャルドラマとかWOWOWドラマでじゅうぶんでしょう。


好きな方、ホントにスミマセンっ💦
あまのかぐや

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