Reimeny

コンプリシティ/優しい共犯のReimenyのレビュー・感想・評価

4.8
近浦監督はこの作品で長編デビューとのことだが、トロント国際映画祭、釜山国際映画祭、東京フィルメックスとそうそうたる映画祭に選ばれていて、かなり期待して見た。海外版の予告編も滅多にないクオリティの高さを感じたので。
実際見たら、期待をいい感じに超えてきた。なんだろう、最近の日本の映画にない、作品そのものの力強い佇まいのようなものがある気がする。

失踪した技能実習生・不法滞在者というキーワードだけ聞くと社会派の映画と想像する人もいるかもしれないが、けしてそんなことはなく、異国でただ目の前の日々を生き抜こうとする青年の瑞々しい青春物語でもあり、彼と彼を取り巻く人々の感情の機微が丁寧に描かれたものだった。

序盤の朝日に照らされる主人公のシーンは、物語を進めるようなシーンでも感情がはっきり見えるシーンでもないのに、なぜかぐっときた。こういう瞬間が沢山あった。
練られ方のすごいと思うところも色々あった。ただ、そのすごいと思うところが、うまくまだ言語化できないけど。
ただ、インディペンデント映画で、日中共同製作で、長編一作目とは思えないクオリティーということははっきり感じる。

ラストに近づくにつれ「物語が終わってほしくない」という感情がどんどん高まり、その締めつけられるような感覚は久しぶりだった。今回見たフィルメックスの作品の中では一番そう感じた作品でもある。

藤竜也さんが絶賛していた、主人公チェン・リャンが失踪する前の物語という短編「SIGNATURE」もロカルノやトロント映画祭にもノミネートされたということで、劇場公開した時にはセットで見れる回をぜひ作って欲しい。

近浦監督の二作目、三作目はどんな映画になるのか。これからの作品が楽しみな監督が日本に登場したのは嬉しい。