ヒロ

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のヒロのレビュー・感想・評価

3.7
1980年5月に全羅南道光州市で起きた民主化を求める市民軍と軍事独裁政権の衝突、韓国民主化の原点である光州事件をいち早く全世界に発信したドイツ人記者と韓国人タクシー運転手の友情と勇気を描いた意欲作。とまぁこんな感じで書けば聞こえは良いが演出面がなかなかに残念でした。自国の負の歴史に踏み込み布教も兼ねつつ芸術として昇華するそのテーマが持つ強さと映画にする必然性は買うがエンタメ性を重視する余りデフォルメしすぎてて興醒めた。芸人が目先の笑い欲しさに盛りに盛った自称すべらない話ぐらいダダ滑りしてて、泣かなければいけないであろうシーンで笑いがこみ上げてくる始末。それでもやはり『高地戦』での経験が大いに生かされてる大人数を投入して撮影されてる銃撃戦闘シーンの画面強度には凄まじいものがあったし、ソンガンホの演技だけでも観るに値する。それだけに少し惜しいなと。まぁでも最近がっつりネタ切れな即効性はあるが持続性のない勧善懲悪ムービーを量産しまくってその場しのぎに奔走するというか迷走する韓国映画界に降り立った、久しぶりの映画館で観るべき映画。及第点。
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