まいたけ

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のまいたけのレビュー・感想・評価

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人口5000万人の韓国で昨年1200万人がみたという「タクシー運転手」。
舞台となった1980年というと、映画「ドラえもん のび太の恐竜」が公開された、ドラえもん好きとしてはエポックな年。その年に、お隣の国でこんなことが起こっていたとは…もちろん光州事件のことは知っていたけれど、それはあくまで教科書的な知識として。
事件の映像はかなり詳細に、実際のフィルムに近い形で絵作りされていた(荻上チキ Session22より。何人の警官が殴りかかっていたか、なども細かく再現されていたらしいです)とのことで、事件の生々しさ、凄惨さが伝わってくる。伝えようという強い意思を感じます。
しかし上映後、劇場に貼り出されていた監督インタビューを見ていると、実際に光州事件を体験した人からは、まだまだこんなもんじゃない、という意見が出たらしいですが……

OPもそうだけど、映画の冒頭から中盤は、なんとなくコミカルな雰囲気で描かれているため、より終盤とのギャップが際立つ。OPに流れていたテンション高めの明るい曲(ポンチャック?)はちょっと欲しくなったほど。こんな明るい曲が流れている一方で…と思い知らされてしまいます。
ここは俺に任せて先に行け! 的な演出がちょっと過剰かな…? とも思ったけど、それでもやっぱりグッと来てしまいました。ナンバープレートを見逃した検問の上官にもグッと来た。



言論統制、検閲、市民への発砲…どれをとってもドラえもん映画開始の年(しつこい)に近代国家で行われていることとは思えずショッキングな映画となりました。同時に、中東やアフリカは、どこかで他人事だと思っているんだなぁ…とも。


いつものように2列目真ん中で観たのですが、笑うタイミングとかを聞いてると在日の方も多かった様子。すすり泣く声も多かった。
先日観たペンタゴンペーパーズもそうだけど、自国のネガな部分が、実際の出来事、名称で映画になる、映画にするのって、当たり前のように観ているけどすごいことだな。
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