菩薩

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の菩薩のレビュー・感想・評価

4.2
とりあえず市民に銃を向ける意思なきゾンビと化したアホ軍人達を一列に正座させて山下真司ばりに殴り倒したい気持ちになった。自分の中の良く分からない感情、おそらく最も適切な表現で言えば「虚しさ」と言う奴なんだろうけど、ピーターがふと力無くカメラを下げた瞬間に「それよ、それ。」と、隣の知らんおっさんと共にぐっちゅぐっちゅの顔面を静かに縦に振った。自分達に危害を及ぼす可能性がある「暴徒」に弾を撃ち込むならまだ理解が出来る、だが傷ついた仲間を救おうとする者、白旗を振る者、そして丸腰の女性達に銃を向ける必要がどこにあるのか。根底にある地域差別、殺意無き殺傷行為、信念無き正義への盲信、未来を築く意思など一ミリも無い無責任の上に成り立った全くもって無意味な虐殺行為を目の前にして、自分もまた完全なる「他人」にも関わらず「当事者」の悲しみを植え付けられた気になった。やり過ぎな場面があるのは全くもってその通りだと思うが、あれはもう…男のロマンなのだからあの大友克洋の漫画に出てきそうな健康優良不良おっさん共の笑顔と行動には心からの「忠誠」と共に敬礼を捧げたい。おにぎりに靴、犠牲の上に成り立つ平和、古ぼけたタクシーが運び平凡なおっさんが守り抜いた真実が繋いだ未来への希望、ドイツを二分した壁が取り払われ西と東の区別が無くなった様に、まさに南と北の分断が解かれようとする今、乗り越えていかなければいけない悲劇は多々あるだろうが、権力が市民を運ぶべき目的地はいつの世も「平和」であって欲しいと思わずにはいられない。たぶんピーターは西野カナ以上に会いたくて会いたくて震える晩年を過ごしたろうと思うと余計に…(泣)