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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のadagietteのレビュー・感想・評価

4.0
気軽に行ける近場の映画館はあれど、こういうのは都心まではるばる出かけないと観られないんだよなぁ ....
それが面倒で、ついぐずぐずしてたのだけど、たまたま 光州事件についてのTVドキュメンタリーを観て、これは見なければ ...と出かける。
 http://www4.nhk.or.jp/anotherstories/x/2018-06-18/10/34416/1453095/

一人娘をかかえる男やもめのタクシー運転手の ソン・ガンホが、報酬の高さにつられて、光州に行きたいという外国人を乗せる。
この外国人が、光州情勢の取材に来た、東京駐在のドイツ人記者。
(彼の撮った映像は、 NHK の番組でもたくさん使われていた。)

学生のデモと言っても、市民生活には迷惑なだけ、兵役の経験もあるガンホは兵隊さんおつとめご苦労さん、程度に考えている。

だが、光州市内に入り、TVニュースで流れていたのとは全く違う凄惨な状態を知る。 市民は外国人記者が来たときいて、歓迎し、どうかこの悲劇を世界に伝えてほしいと口々に希望を託す。
光州の同業者にも助けられ、取材は進むが、それはまさに命がけの仕事。自分の家族の元に無事に帰りたいという葛藤も大きい。
だが、事態はどんどん悪化し、ついに、軍が市民に向けて無差別に発砲することに ....

独裁政権の弾圧を、知らされぬ側から、弾圧の真っ只中に放り込まれた市民の視点で描かれているので、光州事件がどれほどひどいものであったか、その衝撃と困惑を否が応でも共有させられる。

モデルになったドイツ人記者が、2016年に亡くなる前の映像が出てくる。
ガンホのモデルになっているタクシー運転手の行方がわからない、と。。
となると、現実には反政府運動の側の工作員であった可能性もあるだろう。

ただ、独裁圧政の恐ろしさを体感させるには優れた演出だったと思う。
1980年の韓国に限らない。
いつの時代も どこの世界でも起きうることだろう。

p.s. この解説も
https://www.tbsradio.jp/251446