Oto

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のOtoのレビュー・感想・評価

3.9
重要な事実をエンタメで包んで伝えるっていう好きなタイプ。『PK』『きっとうまくいく』と少し近い。
コメディ部分が露骨だけど、事実の方が脚色並みの衝撃を持っているのでバランス取れていて凄い。
終盤の『Fury Road』パートはやりすぎで笑ってしまったけど、韓国はいつも邦画にはできないフィクションの作り方をしているし、それでいて泣けるリアルな家族物語がある(『新感染』も『コクソン』も)。歴史に疎いので、韓国ってこんなにやばかったのかって純粋に驚いた。
「約束は海を超えて」よりも「怒りの光州ロード」みたいな副題付けた方が多くの人に観てもらえたのかもと思った笑。

世界を動かすことはできても、目の前の人の命は救えない"報道の功罪"みたいなものを描いてるのが良い。外国人記者とタクシー運転手の視点という切り取り方(設定)の時点で上手い。
言葉が通じないからこそ、泣きのシーンに味が出るな〜と思った。二人の友情が言葉の壁を越える感じもエモい。日本にこれだけの演技ができる俳優いるのかな〜って不安になるくらいすごい。
終わり方があっさりしてるのも良いけど、娘の描写がみたかった。靴を履いている様子とか、いじめっ子の将来とか、そういう回収がもう少し欲しい。

なぜ偽名を書いたかわからないけど、名誉より娘を優先したかっこいい父親で、ある意味『Taxi Driver』のTravisとの共通点もあると感じた。これも親が泣けるやつ
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