タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の作品情報・感想・評価 - 3ページ目

「タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜」に投稿された感想・評価

伝えるってすごいことだ、と思わされる。
ニュースを消費しないで受け止めようと思う。
そのニュースにどれだけの人が気づいてくれと想いがのってるかわかったから。

このレビューはネタバレを含みます

この作品を観て初めて、「光州事件」を知った。40年程前にこんなことがあったのだなぁ。

ひとりの平凡な庶民であるタクシードライバー、マンソプ。最初は社会に対する疑問を感じることなく、デモを行う学生に対しても否定的な目を向けている。ところがドイツ人記者を乗せて光州に向かい、光州の市民や学生と出会うという過程を経ることによって現実を知ることになるのだが、マンソプが持っていた既成概念が壊されていく様が巧みに描き出されている。
政府の発表や、歪曲された内容しか伝えない報道を鵜呑みにする韓国の一般庶民と、事実に気付き、国を変えようとデモなどを行うことで国を変えようとする学生や記者たちが、英語を理解できるかどうかという教育レベルの違いできれいに描き分けられていた。ラストの光州からソウルに戻る際の検問所で、英語の話せる兵士がソウルのナンバープレートを見逃したのも、海外を知っているからこそ体制のおかしさを感じており、ソウルに向かうマンソプたちに、真実を伝え、国を変えるきっかけとなるように望みを託したのではなかろうか。
自らは命を落としたとしても、それが社会を変えるきっかけとなり、子や孫にまともな国を残せれば、というわずかな希望を託すことは、本当に見ていて本当に辛かった。このような自己犠牲をせねばならないような時代が、地球上からなくなり、再び来ないことを願うばかりだ。
光州事件を扱った映画。
最初は、呑気なタクシー運転士・サボクがハンドルを握りながら歌を歌っている場面から始まるため、軽めの作品かと思っていたら大間違い。
映画が終わる頃には心にぽっかり穴が空いて、足には重りを引きずって歩いているような倦怠感に包まれていた。
こんな残忍な出来事が、自分がが生まれるたった10年ほど前に起きていた事実だと思うと、本当に恐ろしい。
韓国最高峰のベテラン俳優ソン・ガンホが主役を務め、脇を固める俳優陣たちも豪華。だけどどこかみんな実際に生きているような感じがして、そのあまりの自然さにどんどん物語に引き込まれていった。
何度も目を覆いたくなるようなシーンも出てくるため、血や暴力表現等苦手な方は注意。
マッドマックス映画だと聞いて見に行って前半分はふーんと思ってたけど、後半マジ、マッドマックスだったし、半分実話だとしたらもうなんて言ったらいいかわかんないけどすごいです。
こんな事件があったなんて。
優しい人が死んでいくのをみるのはつらい。
tatu

tatuの感想・評価

3.1
光州事件の実話とのこと。コミカルな部分とシリアスな部分、親子愛、銃撃戦と色々な要素が盛り込まれている。タクシードライバーは役作りがよくされている。銃撃戦はこの手の映画にしては予算かけてそう。ストーリー含め全体的にはもうひとこえ欲しいところ。
光州事件の存在を知れたので観てよかった。コメディとシリアスが隣り合っているバランスがよかった。最後本人映像出てきて再会できなかったこと知って悲しくなった。何で偽名を使ったのか、再会しようとしなかったのか私には理解できなかった。
MOTO

MOTOの感想・評価

4.5
光州事件、韓国における天安門事件的な重い実話を扱いながらエンタメしているところが素晴らしい。当時の韓国の流行歌なんて知らなくても掴みからあっという間に1980年のソウルに連れて行かれる。
登場人物たちには皆ユーモアがあって一筋縄ではいかない重層さがあって魅力的。
白色テロルの恐怖の中で、決してスーパーマンではない普通の人たちが普通のまま輝くストーリーも最高。

唯一の不満は現代パート。
映画に収まりの良い物語を求める人には必要だったのかもしれないけど、自分はどうにもお尻がムズムズしましたね。あんな皆の求める都合の良いファンタジーなんて描かずに、分かっているだけの事実を紹介して終わりで良かったんじゃないでしょうか。
ERI

ERIの感想・評価

3.8
女優の森田想ちゃんがツイッターで本作を推していて気になって、レビュアーさんのレビューを読んでいたら更に気になってしまいようやく観れました。

とてもいい映画だった。タクシー運転手ってタイトルがなんでなんだろうなって、もっといいタイトルなかったんかなって作品を観る前は思ってたけど、見終わったらこれは「タクシー運転手」だなと思いました。1人でも多くの人に観て欲しい。

1980年の韓国、光州であった本当のお話。今の時代に、スピルバーグ監督が撮った「ペンタゴンペーパーズ」とか、本作とかが公開されている背景を勘ぐってしまうな。

前半から後半へ。まるで違う映画みたいにガラッと変わるトーンにまんまと泣かされてしまう。

男手一つで娘を育てるマンソプの生活はギリギリで家賃も払えない。病気で妻に先立たれ、奮発して手に入れた車で個人タクシーをしていた。滞納してる10万ウォンをどうしようか悩んでいたところにウマイ話。ウマイ話にはもちろんリスクがある。

外国人を光州までタクシーで無事に送り届けること。

最初は軽口を叩きながらオイシイ話にご機嫌だったけれど、軍人に通行止めされたその向こうの様子がおかしい。閉ざされた光州の街はまるで観たことのない景色だった。

権力が民衆に銃口を向ける。

主人公のマンソプの心の変化をソン・ガンホさんがとても巧みに演じていて、今自分がしなければいけないことに行動していこうとする葛藤や戸惑い、そして勇気に釘付けになる。そして光州の街で歯を食いしばって暮らすタクシー運転手たちの強い意志と絆に涙が止まらない。なんだったらこの人たちのかっこよさが一番だった。

音痴な大学生のジュシクが捕まったとき、韓国語しかわからない軍人の横で、韓国語じゃなくて敢えて英語で「自分のことはいいから、真実を伝えて欲しい」と叫び、時間稼ぎをするシーンは勇敢で寂しくてとても悔しかった。あぁ、未来を作るはずの大人が若者を捕まえて脅している世界。

光州で暮らす人たちは自分たちもとても余裕なんてないのに、必死に助け合って、そして寛大で優しい。ナンバープレートを届けてくれたこと。娘が待つソウルに安全に帰れるように手書きの地図を用意してくれたこと。強いなぁ。

マンソプは一度ソウルに帰ろうとしたけれど、事実が報道されてない嘘の世界がいたたまれなくて、光州に戻る。連なるタクシーがケガ人を助け出す姿や、マンソプを追う軍人を追い払うために助けに来てくれたカーチェイスのシーンはタクシー運転手のおじさんたちがかっこよすぎて、悔しくて、痛くて、たまらなかった。なんでこんなことが起きてるの。

こんな世界がいつどの国に起きるかわからなくなってしまった。とても考えさせられる。
Wu

Wuの感想・評価

3.5
こんな事件があったなんて知らなかった。それにしてもあいつは不思議な魅力がある学生さんだなあ。