クモ男爵

小さき勇者たち 〜ガメラ〜のクモ男爵のレビュー・感想・評価

3.0
平成三部作は怪獣ものでありながらヒーローものだったのに対しこちらは怪獣ものでありながらジュブナイルものといった感じですね。
昭和時代からあるガメラは子供の味方という側面を掘り下げた作品テーマなのでコンタクトの仕方としては至極真っ当だと思います。

今回ガメラのサイズが小さくなっていますが、怪獣映画としてこのサイズならではの新鮮味のある戦闘シーンも拝めたので個人的には満足できました。ガメラ映画って毎度新しい戦闘演出見せてくれるところが本当に素晴らしいと思います。

冒頭を除き戦闘シーンが昼間に統一されていたのも戦闘の状況が把握しやすかったですね。対してその冒頭のシーンは平成三部作ファンへのサービスシーンというか免罪符のようにも感じられて『こんな映像観たかったんでしょ?今回は少しテーマが違うから取り敢えずこれで満足してね。』みたいな意図があるんじゃないかなと勘繰ってしまいました。実際は単にその後との対比だとは思いますが。

あと不満点ではないのですが今作は敵怪獣の背景があまり描写されずぽっと出感が拭いきれませんでしたね。ガメラは昭和シリーズから敵怪獣の背景をしっかり描いてきました。今回も設定を見ればわかることなのですが、せめてギャオスの死骸を貪るトカゲのカットくらい入れてもいいんじゃないかと思いました。
人を襲っていたり怪獣としての恐さは演出出来ていたと思うんですけどね。

平成三部作の後での不利な状況で前作までとは違った試みでそれでいてちゃんとガメラのキャラクターを描いた今作はガメラシリーズの清涼剤です。なので今後ガメラシリーズが続けばいつの日かもっと評価されてほしい作品であります。
その為にも角川さんにはいい加減重い腰を上げてほしいものです。いつまでも待っているつもりだけどそろそろ新作が観たいな。
今のCG技術なら空飛ぶ亀を更にカッコ良く撮れると思うのです。ハリウッドさんもそう思うでしょ?
クモ男爵

クモ男爵