全編を通して胃が痛くなるようなシーンの連続。自分は基本的に和成目線で観ていたので、卓司が登場するだけで居心地が悪くなるというか…。和成はとにかく気弱で堅実ではあるけど、どこかで人のことを見下してたり、時にものすごく非情だったりするところが、自分と重なりすぎて辛かった。
怠惰で粗暴な卓司の事を見下しているが、時々人を殺しそうな目つきをしている窪田正孝の危うさがすごい。新井浩文の、出てくるだけでその場の空気を支配してしまうような威圧感もさすが。まあこの二人が上手いのは分かってはいるけど。
姉妹を演じたニッチェ江上と筧美和子は、もはやキャスティング勝ちとも言える。本人のイメージやキャリアに重なる、この上なく意地の悪いキャスティング。素晴らしかった。
ただ、どこの兄弟、姉妹間でも多少はある確執や嫉妬などを切り取ったのはとても面白いが、個々のキャラクターが強すぎるからか、意外と共感できるまでには至らないというか、そこまで刺さるものがなかったかな。もっと強烈にキツい毒っ気を期待してたんだけどな。
あと、「ヒメアノ〜ル」や「さんかく」を観たときにも思ったが、意外と安易な展開や、過剰な演出・セリフも少なくなく、ちょっとくどく感じた。キャスト陣の好演で、ついウルっとさせられるんだけど。
ただ、ラストは良い。綺麗にまとめにかかったなーと思ってたら、ドドーンと顔のどアップでのにらめっこ。険悪な雰囲気なんだけど、どこかコミカルで笑えちゃうバランスが、個人的には好き。
意外と文句が多くなってしまったけど、演技畑じゃない人が、最高の配役をされて輝く瞬間が好きだから、それが見れただけでも満足です。とりあえず江上と筧ちゃんはこれから応援したくなった。