柊

犬猿の柊のレビュー・感想・評価

犬猿(2017年製作の映画)
3.6
これだけ見た目や価値観の違う兄弟姉妹は肉親が故に生きにくいだろう。
特に新井浩文はシャレにならないくらい悪い人だし…堅気の世界では既に生きていないので余計に厄介だ。
でも、もしかしたら、いやもしかしなくても肉親同士は仲良くて当たり前と言う縛りの元にこんな風に相容れない関係は多いのかもしれない。そして時折見せるDNAの気まぐれで普段は相容れない肉親が異様に同属性を感じさせる感情。どこか深いところで断ち切れない思いが巣食っているかのように。だから揉めたら肉親同士の方がややこしい事になったりするのだろう。
この監督の目の付け所がありそでなさそな、憎いけど恋しいみたいな振り幅のある感情をあっさりと同居させるのがいつもながら感心してしまう。だから嫌な話が圧倒的に多いのにどこかでクルッと反転させられてしまう。故に後味があまり悪くならない。なかなかいないですこんな感じ。
幼き頃の幸せな記憶のショットに対して、双方の両親の存在の稀薄さもとても違和感があったり、見るべきところ考えさせられるところがとても多い。

江上さん、窪田正孝や新井浩文を向こうに回しなかなかの熱演。キャラさえ合えばいい役者さんになっていけそう。
柊