犬猿の作品情報・感想・評価 - 3ページ目

犬猿2017年製作の映画)

上映日:2018年02月10日

製作国:

上映時間:106分

あらすじ

印刷会社に勤める真面目な弟とは対照的に乱暴者でトラブルメーカーの兄。見た目は悪いけど頭がよく勤勉で家業の印刷所をテキパキ切り盛りするブスな姉と、要領は悪いがその容姿と人当りの良さで人気者の妹。この二組の兄弟・姉妹の関係に、あるとき変化が訪れる。それぞれの思いが交錯し、相性最悪なW犬猿ペアの抗争は次第にエスカレートしていく。

「犬猿」に投稿された感想・評価

moe

moeの感想・評価

3.7
私は1人っ子なので、こんなむず痒い経験をしたことがほとんどないんですけど。同じ家にこんな人間がいたら気が狂うんじゃないかと思います。それだけ兄弟姉妹っていう感覚は、1人っ子にとっては地球の反対側くらいのカルチャーショックなわけです。たぶん。兄弟姉妹っていう概念って、いろんな作品に登場してるけど、実はちゃんと分かってなかったような気もして。だからこうやってちゃんと説明してくれる作品が、他の作品を観る上でも有難いです。今までありそうでなかった映画ですよね。

もうひとつ、お兄ちゃんのこういう人間性めっちゃ好きです。ブスをブスって蔑むことなくはっきり言っちゃって、お前はブス、それ以上でも以下でもねえよという飄々とした態度とか。それで「チャーハン美味かったよ」って当たり前のように言えるところとか。「顔は重視しませんよ」って言ってる弟の白々しさに笑えてくる。窪田正孝は10年前から好きだけど、今回の役はほんと好きじゃなかったな。好きな俳優なのにちゃんと嫌えるところが、窪田正孝の凄いところでもあると思いますが(ややこしい)(まるで兄弟姉妹のようだ)

このレビューはネタバレを含みます

おもしろいです。
主演の4人が実によく噛み合ってて、吉田監督の持ち味である居心地の悪い言動が本当に痛く響く。
観てくうちに兄弟、姉妹の関係性のニュアンスが微妙に変わる感じがおもしろく、緊張感が途切れなかった。
マジで楽しいことはもう間違いない。

ただ後半、残念!

まず大けんかの後半の悲しい音楽演出、ださい!
そして救急車のくだりは喋りすぎ!

その後のラストの会話で「そんなうまくいかない」を見せるために和解を演出するのはわかるが、
あんなに丁寧に説明しなくていーだろ!
あんなにウェットにしなくていーだろ!
すんげー残念で、涙止まった。

しかも子ども時代の描写、雑!
前回の「麦茶2つ」の二番煎じ感もあり、なんでこんなんしちゃうかなぁと思いました。
あら松

あら松の感想・評価

4.2
「さんかく」の吉田恵輔作品と聞いて。(ヒメアノ〜ルもだった!)
姉妹の方は二人ともいわゆるタレント女優にあたると思うが、かなりいい仕事をしていてお見事なキャスティング。
特にお姉さんの方はこの映画のコメディ部分をかなり補強している。遊園地のシーンは声出して笑い続けてしまった。

兄弟の方は二人とも実力派なので。
特に窪田正孝のフランクモード、営業モード、挙動不審モード(対兄)の演じ分けがお見事。

クライマックスではぼろぼろ泣きながら「こいつら全員クズだなぁ」と思っていた。
茶一郎

茶一郎の感想・評価

4.2
 兄、弟、姉、妹、自分にとって誰よりも近しい存在との不均衡を描く『犬猿』。本作は、V6の森田剛氏をサイコキラー役として起用し幅広い観客にショックを与えた近作『ヒメアノ〜ル』でおなじみ、𠮷田恵輔監督の『麦子さん』から4年ぶりとなるオリジナル脚本作品となります。

 冒頭から昨今しばしば見られるキラキラ映画のダサいCMをイジり、観客に唐突なアッパーをかましたと思ったら、その後はボディブローのようにジワジワ効いてくる静かな「気まずさ」を延々と持続させる監督のイヤらしさ。𠮷田監督の日常生活への意地悪な視線によって生み出された最悪(最高)の「気まずさあるある」シーンが連発されます。
 『純喫茶磯辺』の居酒屋、『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の結婚式……とシチュエーションを列挙しただけで、気恥ずかしさと気まずい思いが蘇る𠮷田作品ですが、本作における私的「気まずさあるある」シーンのベストは、兄弟姉妹関係を描いた本作『犬猿』らしく、お互いの身内への思いが交錯する遊園地デートのシーンでした。軽い気持ちで自分の身内(兄弟)への自虐を言ったら、相手がその自虐にノってきて悪口を言われ少しイラっとしてしまう。画面を直視できないほどに見事な「気まずさあるある」名シーンでした。

 そんな監督の演出・人間観察力を、より映画的に盛り上げるのは、窪田正孝(弟)と新井浩文(兄)の兄弟、ニッチェ江上(姉)と筧美和子(妹)の姉妹、この2組の演技合戦と言えます。監督は意図的に、珍しい芸人さんの江上氏とグラビアアイドルの筧氏という飛び道具起用組と、窪田正孝氏と新井浩文氏との芸達者で演技派組の2パターンを対比させキャスティングしました。キャラクターに完全に成りきっている兄弟の演技合戦も面白いのですが、特に江上氏と筧氏とのバトルは、「不細工だけど頭がキレる芸人 VS 綺麗だけどどこか馬鹿っぽいグラビアアイドル」という構図が物語を超え、ドキュメンタリックに面白い点です。
 ニッチェ江上氏が「あんたは胸が大きいだけ」と罵倒するシーンを始め、妹役の筧氏への罵倒について江上氏が「私がいつも美人に対して思っている事だから言いやすかった」と語っているのも非常に興味深いです。

 日常における不均衡、優れた観察眼が生み出す「気まずさあるある」、そしてキャスティングの妙が生み出した奇跡の演技合戦、全てが高レベルな映画的化学反応を見せると同時に、本作『犬猿』は非常に開けた兄弟愛の物語に帰着します。
 𠮷田監督は作家性の強い素質を持っていながら、『ヒメアノ〜ル』のラストの脚色を始め、とてもエンターティメント寄りに物語を落とし込める娯楽作家です。そしてこの監督のサービス精神がどうにも監督の限界点をセーブしているというのも事実。私は過剰な泣かせ演出より、「チャーハン美味しかったよ」なんて何気ない端々のセリフの方がよっぽど感動的だと思ってしまうのです……
jjjk

jjjkの感想・評価

3.6
全編を通して胃が痛くなるようなシーンの連続。自分は基本的に和成目線で観ていたので、卓司が登場するだけで居心地が悪くなるというか…。和成はとにかく気弱で堅実ではあるけど、どこかで人のことを見下してたり、時にものすごく非情だったりするところが、自分と重なりすぎて辛かった。
怠惰で粗暴な卓司の事を見下しているが、時々人を殺しそうな目つきをしている窪田正孝の危うさがすごい。新井浩文の、出てくるだけでその場の空気を支配してしまうような威圧感もさすが。まあこの二人が上手いのは分かってはいるけど。
姉妹を演じたニッチェ江上と筧美和子は、もはやキャスティング勝ちとも言える。本人のイメージやキャリアに重なる、この上なく意地の悪いキャスティング。素晴らしかった。
ただ、どこの兄弟、姉妹間でも多少はある確執や嫉妬などを切り取ったのはとても面白いが、個々のキャラクターが強すぎるからか、意外と共感できるまでには至らないというか、そこまで刺さるものがなかったかな。もっと強烈にキツい毒っ気を期待してたんだけどな。
あと、「ヒメアノ〜ル」や「さんかく」を観たときにも思ったが、意外と安易な展開や、過剰な演出・セリフも少なくなく、ちょっとくどく感じた。キャスト陣の好演で、ついウルっとさせられるんだけど。
ただ、ラストは良い。綺麗にまとめにかかったなーと思ってたら、ドドーンと顔のどアップでのにらめっこ。険悪な雰囲気なんだけど、どこかコミカルで笑えちゃうバランスが、個人的には好き。
意外と文句が多くなってしまったけど、演技畑じゃない人が、最高の配役をされて輝く瞬間が好きだから、それが見れただけでも満足です。とりあえず江上と筧ちゃんはこれから応援したくなった。
korin

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3.8
もう何年も兄と関わり合ってない私にはわからない部分も多いけども近くにいるからこそ生まれる嫉妬とか「昔はあんなに仲良かったのに...」みたいなのは共感の嵐でなかなか楽しめた。4人のキャラがいい。特に新井さんとニッチェ江上が良くて、2人のシーンは最高だった。
途中「ところで『ヒメノア〜ル』ってどんな話だっけ?」てのを必死で思い出そうとして集中しきれなかったのだけが良くなかった(?)

あんなに泣くとは思わなかった。

「人はそう簡単には変われない」というのは真理。
P

Pの感想・評価

3.9
2018年劇場鑑賞13本目。

「ヒメアノ〜ル」の吉田監督ということで期待して観に行きましたが、早速オープニングでやられました。前作も中盤絶妙なタイミングでタイトルが挿入されて驚かされましたが、本作も驚きましたね笑

うちは兄妹なので、"一番身近なライバル"という関係ではありませんでしたが、"自分が兄弟をバカにするのは良いけど、他人からバカにされるのは許せない(自分から話し出したくせに)"というあの感じは、兄弟姉妹がいる人ならば誰もが共感出来るのではないでしょうか。
おそらく同性同士の兄弟の方は、もっと沢山共感できる場面があるのだろうと思います。

「最近兄弟と話していない」とか「あまり上手く行っていない」という人にこそ、ぜひ観て欲しい作品です。面倒くさくて愛おしい複雑なこの関係について、改めて考え直すきっかけになると思います。
荒野

荒野の感想・評価

4.6
いがみ合うし喧嘩するし嫉妬するしウザいし人前でも普通に貶すし、でも何か他人に貶されるのは嫌だみたいな。アイツのことを貶していいのは自分だけだみたいな。そういう兄弟姉妹あるあるというか、とにかく台詞回しとか間の取り方とかが恐ろしく的確でビビった。勿論、全国の兄弟姉妹を代表する4人の演技の質も本当に高い。ニッチェ江上は天才か。

一つ歳上の姉とそんなに仲良くなく、「そもそも仲の良い兄弟とか有り得るのか?」とさえ思っている僕にはジャストフィットすぎる素晴らしい映画だったし、ひょっとしてこれ僕のために作られたんじゃ...と未だに疑っている。
横になった兄が語る「昔はお前、俺のこと好きだったんだぞ」で涙腺ダム決壊、故にその後の回想演出は不要かなと思ったけど、そこでもまた泣ける台詞が飛び出して、許した。終わり方も見事すぎる。随分とエッジの効いたお話だけど、その割にとても温かい気持ちになって劇場を出られる。邦画は普段そんなに見ないけど、これはマジで見て良かったヤツだ。
yoga

yogaの感想・評価

3.8
映画の本筋と関係ないのだが、吉田恵輔監督には個人的にすごく思い入れがある。大学に落ちて東京で浪人生活を送るために上京してきた19歳の年、人生で初めて観たオールナイトの映画が吉田監督だった。確か「純喫茶磯辺」の公開記念だったと思う。今まで九州の片田舎で全国公開のメジャー映画しか観てこなかった自分にとって、エロ丸出しの刺激的なマイナー映画を浴びるように観た一夜は強烈に記憶に残っている。最後にトークショーを行った吉田監督の飾らないエロにーちゃん的な人柄にも憧れた。こんな人がこんな自由に好きな映画を作ってるんだ、東京ってすげーっと感激した。それから10年近くが経ち、自分は普通に就職してサラリーマンになり、吉田監督は映画監督としてのキャリアを彼らしさを失うことなく邁進しているように見える。吉田監督の映画はどれも登場人物みんなが愛おしい。真面目な人も、馬鹿な人も、凶暴な人も、計算高い人も、みんなどこか憎らしく、どこか哀しげで、だからこそ愛おしさが増す。そして、今回の犬猿のテーマは兄弟(姉妹)。誰にとっても、一番近しいがゆえに愛おしく、愛おしいがゆえに憎たらしい。あまりにも吉田監督にぴったりのテーマではないだろうか。
窪田さんの、病んでるいつ爆破してもおかしくない、不発弾的存在がドハマり! 江上さんは2代目藤山直美になれそうな、これからも楽しみな女優さんですね。
つかみあり、毒あり、笑いあり、ピリピリあり、エモあり、オチありでほぼ完璧な幕の内弁当でした。