東京国際映画祭にて。たぶん傑作しかなかった同映画祭の「日本映画スプラッシュ部門」で最優秀作品賞を受賞した作品。
どこにでもあるような核家族を描いている作品だけど、意外と最近の家族映画にはないタイプの作品になっていたのではないだろうか。
というのもここ2、3年の日本家族映画は、
『万引き家族』『湯を沸かすほどの熱い愛』『幼な子われらに生まれ』などの非血縁家族系と、『クリーピー』『淵に立つ』などの怪人来訪型崩壊系の2つに分かれていたから。
本作はそのどちらとも違って、家族内で大きな問題が起こって最終的に家族内で問題解決するという、内部崩壊/再生系の家族映画。小津の時代からあるオーソドックスっちゃあオーソドックスなやつ。
家族内での「嘘」という武器のみを使ってここまでのドラマを作り出したのはすごい。人がはじめて嘘をつくのは家族に対してだろうし、一番大事な嘘をつくのも家族なんだろうと思う。その「大切さ」と「嘘をつくという不誠実さ」のパラドックスを改めて実感させられるのがおもしろかった。