ぽん助

鈴木家の嘘のぽん助のレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
3.5
好きな作品にはならないけれど、どうやったらこんな脚本が書けるんだろうって単純にすごいと思った。
ここまでリアルに父母妹の浩一の死に対する向き合い方、思いをそれぞれ描き出して
世の中のいるいるって人をちゃんと存在させてて、
人間観察をよくしているのかなと感じた。

加瀬亮がやはり好演。
まじでこういうやついるよね。どうやってこういう人になりきれるのか全く理解できないけど、でもまんまそういう人に見えた。さすが。
自分しか見えてない、他者に自己投影したり憧れを抱いたりせず、ただ自分のもちものについて考えて頭でっかちになってる人。鬱と診断される"かも”しれない人。
でも、そういう人に限って踏み出してみた一歩が、ちょっと興味があって童貞卒業したら変われるかもなんて期待を抱く風俗。
それでまんまとイヴちゃんに落とされて保険金受け取り20%ならあげてもいいよって話しちゃう笑
きっと浩一にもちゃんと楽しんだ瞬間があったんだって思えた。
イヴちゃんに会ったところで別に深い影響もなさそうだけど、浩一がどんな表情を見せたのか気になるから、最後終わるなーって思った。

断捨離して部屋を綺麗にして、これ以上迷惑かけず人生にけじめつけようって、頭でっかちに自分のことばかり考えて出した結論が首吊り。
冒頭のシーンもう一度見返したら、屋根裏に手伸ばしてモゾモゾなにかしてた。コウモリに別れを告げていたんだろうなって。

長くなったけど、いい意味で人間らしくて、現実はこんな感じだよなという映画。
悲観的な中でも実は面白いことは日々あって、側(私たち視聴者)からみればクスッと笑えるけど当事者は真剣で重くて気づかない
あんまりこういう映画見たことなかったから新鮮で面白かった
ぽん助

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