恭介

サンズ・オブ・ザ・デッドの恭介のレビュー・感想・評価

サンズ・オブ・ザ・デッド(2016年製作の映画)
3.8
うわぁ〜

これ、いい!(笑)
ジャケ借り当たりくじ!

すでに最初から死者が歩き回っている
世界。潔く理由は一切、説明なし。

ヤンチャそうな金髪女性。ドラッグきめて酒飲んでタバコプカプカ。今までのゾンビ映画なら、真っ先に死ぬ脇役キャラみたいな女性が主人公。
彼女とその彼氏が乗る車のタイヤがスタックして荒野の真ん中で立ち往生。

そこに現れるスーツを着た1人のゾンビ。
彼氏が早々に餌食となった後、そこから彼女とゾンビ、2人の珍道中が始まる。

まさかのロードムービー化(笑)
この設定は昨今の猛ダッシュ系ゾンビじゃ考えつかない設定。全てロメロゾンビの定説ありきのストーリーなのも嬉しい。

彼女の目的は空港に行く事。
そこに辿り着くまでに色んなドラマがある。こんなシンプルな設定なのに
怖くて可笑しくてシュールで時には真面目。コメディ色が強いと思えば、ちゃんとグロさも出してくる。

ゾンビはひたすら食べ物として彼女を追い回すのだが(追い回すのもちゃんと理由がある)物語が進むにつれて彼女はゾンビに対して複雑な感情を持つようになる。

時には襲われ、怒り罵り、時には愚痴をいい、時には自分の過去を語り、話し相手となる。また、ボディガード役や荷物持ちにも(笑)もちろん、ゾンビにはそんな役割を果たしている意識などない。彼女は食べ物なんだから。そこがいい。

ゾンビが付きまとう事により、彼女は自然と心身ともにたくましくなり、過去の自分と向き合い、成長していく。

終盤までほぼ、2人劇でひたすら荒野を歩いているだけなのにホラー、コメディ、ドラマの要素をちゃんと物語に組み込んでいる脚本は秀逸だと思う。

そしてロメロゾンビに対してちゃんとリスペクトを感じるところが随所にある。
ゾンビに名前を付けたりとか、オマージュ的なゾンビの殺し方とか。
また、パニック状況下の人間の醜さもちゃんと逸らさずに描いている。

限られた予算の中でも、カメラワークや彩度とコントラストが高い色調、火の光の使い方など演出にも工夫が見られる。

ただ、個人的には終盤がちょっと普通のゾンビ映画に帰着してしまったのが惜しい。
ロードムービーのままで何とか締め括って欲しかったなぁと思う反面、彼女の成長を見せるこの展開もアリかなぁと思うとこも。ここは評価が分かれるトコかな。

スプラッター度もそんなに高くはないし、
スリリングさやスピード感も皆無。
ただ、元々ゾンビの存在自体がシュールなので、なんか本来のゾンビ映画を久しぶりに観た気分になれた。