次男

サイモン&タダタカシの次男のレビュー・感想・評価

サイモン&タダタカシ(2017年製作の映画)
4.2
こんなに正しい青春映画があるか!金の匂いのしない、小さな小さな映画かもしれないけど。僕は、多くの青春映画よりずっと正しい青春だと思いました。思い出しただけで込み上げてくる、むせ返るほど青春。「叶わない」という正しさですよ。叶わないことが美しく見えるのって青春時代だけじゃんすか、特権だし、そもそも叶った青春なんてこちとら持ち合わせてねえんだよクソが!同性愛とか、監督の使ったあらゆる手段は、さておいて、恋愛かどうかもさておいて。いろんなことが、ただただ「叶わない」時代の話でしょ、と思うのです。僕はただ泣いた。正しい青春映画を観るといつも理屈を超えて涙が出る。

クラスのマドンナとかヒーローときちんと結ばれた羨ましいバカはあっち行け!

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さておいたものをも一度こっちに戻すけれど、溢れる表現力をいろんな方向にぶつけた演出はやっぱり特筆点で。ロトスコープにCGに特撮にジオラマに…。なんかこう、手加減知らずで、馬鹿みたいで、大好きです。(担任教師のケツのヨリは笑いましたもの。)

前述の通り、予算をすごく感じる作品ではあるのに、きちんと「劇場で観る価値」を作っているところに、冷静に感心してしまいました。

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おでんをおかずに、ご飯をむさぼりたいですよ。家のおでん。あと、生乾きのTシャツとか、膝の破れた制服とか、ありえない量のご飯の詰まった弁当とかあの時代だけ有効だった正解とか。僕も一丁前に青春してたんやなあと思いました。いつの間にか叶うことを必須条件にしてるなあ。
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