冒頭から舞台劇のような台詞回しと体裁。得体の知れない工場の中で降霊式らしきものが展開されていく…。あまり著名でない俳優さん達の演技がリアルな不穏さを以って画面から滲んでくる…。10年以上も前に、何ら前提知識なく当時まだVHSだった呪怨のテープを借りて、その後恐怖の大波に飲み込まれたあの感覚に似ている…
見終わってそこまでの恐怖感ではなかったが、途中の無言の間の向こうに立ち昇る靄のような不気味さ、時々向こうの世界からやってくる人、そして終盤のシュールな展開と表の世界に出て行くあれ。久々に日本らしい怪奇譚を観ることができたと感じる。曖昧と朦朧とした中にあるものの方がはっきりと見せられるものよりも想像力が働かされる分、敏感に脳髄に響く。高橋監督はその辺りのツボ、よく心得ていると改めて得心。
