耶馬英彦

ハード・コアの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

ハード・コア(2018年製作の映画)
4.0
 チープな印象のスラップスティックではあるが、ストーリーはよく練られている上に俳優陣の怪演も手伝って、とびきり面白い映画になった。
 見た目とは裏腹のハイテクロボットだが、ロボット憲章を遵守するという基本は守られている。そしてそこにこの作品の世界観がある。人間はみずからの食欲と性欲に振り回されて、非合理的で理不尽で無駄な行動をするが、それでも人としての尊厳は守られなければならない。
 思想や信条の違いはもとより、貧富も善悪もひっくるめてすべての人間を肯定する力強さに、底知れぬ哄笑が沸き起こるようなエネルギーを感じる。ルネッサンス期みたいな作品である。
 設定の細かい部分には謎が多く、全部は説明してくれないまま、いくつかは謎のままで終わる。いろいろな点で心残りではある。蛇足になるのを恐れずに続編を観たい気がする。
耶馬英彦

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