サッカーと映画観るのがすき

泣き虫しょったんの奇跡のサッカーと映画観るのがすきのレビュー・感想・評価

泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)
3.5
プロ棋士の世界ってキビシいですね。
己の力のみで必ず勝敗がついてしまう世界で、子供の時から神童・天才みたいに持ち上げられ、期待されてきた彼らにとって、上には上がいること・自分の才能の限界を思い知らされること、そして年齢による死刑宣告が迫ってくること…大半が挫折することになるすごくキビシイ世界だ。

好きならいくらでも続けさせてあげてもいい気もするけど、将棋以前に人としてそんなに強い人間ばかりではないものね。
年齢制限・期限がなければ、自分ではケジメが付けられず、それこそその後の人生すべてを台無しにしてしまうことにもなりかねない。

しょったんは家族をはじめいろんな人の支えのおかげで、遠回りはしたけど夢を実現した。
将棋は勝負の場では孤独だけど「もう自分のためだけに戦っているわけではない」ことに気づいたとき、長いこと才能の足枷になっていた何か、迷いや気持ちの弱さみたいなものを克服できたんではないでしょうか。
勝負事の世界。才能・能力はもちろんでしょうけど、紙一重の差をひっくり返すのは人間としての厚み・深みみたいなものであると。

松田龍平さんの大袈裟な感情表現をしない演技がこの役どころにはすごくハマってますね。一度は絶望し無気力になった姿、周囲の励ましに抑えきれずにこぼれる涙にグッときました。
脇を固める役者さんがまた豪華。國村隼、小林薫、イッセー尾形、松たか子、わりとちょい役なのに妻夫木聡、ただの通りすがりに藤原竜也?みな魅せてくれます。

地味ながらすごくいい作品でした。