天下の超かぼちゃ王大将軍

レザーフェイス―悪魔のいけにえの天下の超かぼちゃ王大将軍のレビュー・感想・評価

3.7
「ホラーとは性癖です」

"悪魔のいけにえ"のレザーフェイス誕生話という、ビギニング的な映画。

まぁ"悪魔のいけにえ"は何度かリメイクもされて、そのリメイク起点でシリーズが展開されても来たけど、本作がどこの位置からのビギニングなのかはちょっと分からない。
オリジナルに対しての語りなのかも。

まぁ色んなホラー映画でビギニングは作られてきたけど、普通のビギニングは序盤がビギニングで中盤~後半はお決まりの展開。
ブギーマン化したそいつと主人公たちの追いかけっこ。

ただ本作の場合はかなり割り切ってる。頭からお尻まででビギニング。
ラストにレザーフェイスが誕生する流れ。

つまり、見たいものが"悪魔のいけにえ"だとしたら、壮絶に肩を透かされる。

まぁ個人的には養護施設の暴動くらいから、あぁこれはずっとこんな感じかなって割り切れたので、割と楽しめた。

監督がトラウマ映画で有名な"屋敷女"のジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロのコンビ監督。

"屋敷女"でもそうやけど、血の描写が秀逸というか、美女を血塗れにしたい妙な性癖が爆発してるタイプ。

まぁ美女に汚い事やらせるのはホラーの鉄板ではあって、特にフレンチホラー出身監督は大概頭がおかしい。

本作もこのコンビ監督の性癖が入りつつ、ただ、上手く馴染んでいたかというと、ちょっと馴染み切れなかったかなというのはある。

今回は物語の展開に力が入っていたというか、なんやろ、養護施設には複数の子がいるんやけど、どいつがレザーフェイスか分からない仕掛けをしてる。
で、迷わせて、最後はこいつでした展開。

それが逆に持ち味殺しちゃったかなって気がする。
なんやろ、犯人誰でしょ的な映画を観ると、そっちに気が行くというか、推理に思考が走るわけじゃないですか。

それってどっちかって言うと冷静なスタンスで、ホラーとしては無駄やったかなと思う。

元々、このコンビ監督の持ち味は徹底的な性癖地獄のようなもんで、眉をひそめながら見るような、観客がひくくらい暴走してなんぼ。

今回は物語の面で面白味を出そうとし過ぎたかね。

その割に、正直、レザーフェイスが誕生した理由が分からない。
振れ幅が大きく見えたというか、本当は色々な深い理由があって、それを描いているつもりなんやろけど、スッと入って来ない。

それで誕生はちょっと無茶かなぁって思った。

ま、映画としては流石にまとまって面白かったし、
そもそもホラーでこのレベルで展開されるもんって少ないから、
楽しめる水準ではあった。

ただ、個人的にはマイケル・ベイが展開したテキサス・チェーンソーからのビギニングが好きやったから、あの出来と比べてしまうと。

まぁ今更過去作と比べても意味無いんやけど、このコンビ監督なら新しいおぞましさを見せてくれるんじゃないかと思い、期待し過ぎた感はある。

ま、何度も言うけど、一定水準では面白かった。