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デス・ウィッシュのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)
3.6
『Grim Reaper ~生死の秤~』

家族を持つ者にとって一番大切な事、それは家族を守るという事。まずは食わしていかなきゃならないし、何より妻と子が“しあわせ”と感じてくれる事が少しでも多ければ、それが夫として父としてのしあわせだと思う。

主人公カージーは、外科医である。
だから、収入は十分なご様子。そんな彼の妻は今も美しく、同じく美しく育った娘は大学進学を控えている。しあわせな家庭。そんな絵に描いた様なしあわせな家庭だからこそ... 狙われてしまう...

劇中、主人公の義父が言う。
人々は安全を警察に託している。でも、警察が来るのは“事”が起きてからではないかと。

銃乱射事件と公開時期が重なった事もあり、内容に誤解を受けた本作。しかし、公開後監督が「家族について語りたかった。『もし自分の家族がこの様な目に遭ったら、あなたならどうするか?』その主題にこだわりたかった。」と語っている。そして、その想いはしっかりと込められていた。

劇中には“やはり”なイーライ・ロス風味もあるにはある。それは俗にグロと呼ばれるものに該当するだろうし、サスペンス描写はやはり一見ホラー風情となる。ただ、年齢故今こそリアルに映るスキンヘッドと、最初は危なっかしい正義が今また新味。他の怒れる親父映画の数々が元プロフェッショナルなのに対し、この映画に関しては“そこは”素人なのだ。その設定のひねりが、今回はウィリス=“どうせ”マクレーンパターンを抑止していて、改めましてな新ブルース映画誕生に繋がっていると思う。

今なお魅力的なエリザベス・シューも良かったが、何より良かったのがヴィンセント・ドノフリオ。この彼がいてくれたおかげで、この映画はギリギリ単なるバイオレンスに傾かなかったと思う。その点、秤にかけたかの様な絶妙なバランスが光っている。

「もし、こんな事が起こったらその時俺は?」

もちろん、単なる爽快復讐譚としての楽しみ方も出来る。でも、監督は大マジでこの一人の男の本気の“許すまじ”を撮ったのだろう。海を越えた国のひとりの父親にそんな風に捉えさせたのだから、それだけでもこの映画は意義があると思う。あと、ジャケットを観る限り近年のマンネリブルースに見えがちだが、スクリーンに大写しになるBruce Willisの名に、久々に鳥肌が立ったというのはおおげさでなく本当の話🐼
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