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デス・ウィッシュのhi1oakiのレビュー・感想・評価

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)
3.8
イーライ・ロスの新作を2作立て続けに観れちゃう幸せな2018年10月。
『ルイスと不思議の時計』という児童文学映画に続いて公開されたのが、よりによってチャールズ・ブロンソン主演の『狼よさらば』のリメイク! 振り幅!
主人公の名前がポール・カージーであることから、ブライアン・ガーフィールドの小説の再映画化ではなく、前述の1974年のマイケル・ウィナー監督の映画のリメイクであることがわかる。エンドロールでもそう記載されてるしね。
冒頭の襲撃シーンの描写が1974年版よりソフト(怖さはあるけどエグさは無い)なので、アレ?コレはもしかしてヌルいやつか! …なんて思ってたら、イーライ・ロスが本気出してきたのはそこじゃなかった!
主人公のビジランテ活動がエスカレートしていくのは1974年版と同じなんだけど、主人公の職業を設計士から外科医に変更したことで“真っ当な復讐”への納得のいく筋道が生まれてる。その辺は脚本のジョー・カーナハンのアイデアなのかな? そこに賛否両論あるのかもしれないけど、40年越しで溜飲の下がるカタルシスが得られるのは、リメイク作品として過去作をリスペクトしつつも別の物を観せようとする気概を感じた。悪党達の“やられ様”こそイーライ・ロス作品として観てる側が期待している部分だし、1974年版では社会に向けられていた復讐を、今作では直接的な復讐に落とし込んでいるのも“ざまぁみろ感”を増幅してる。
ビジランテとして世間から支持を集める過程がSNSでの拡散というのは昨今の映画では普通なので、そこは工夫というよりはそう表現するのを避けられなかっただけかと思うけど、ベタ過ぎる表現ながらも結果的に説得力が増している。
そもそも最初からヘタレに見えない主人公という意味では、かつてチャールズ・ブロンソンが演じた役をブルース・ウィリスが受け継いだというのもリメイクとして正しいと思う。観てる人は“どうせ強いのわかってる”っていうね。
そして何よりクライマックスのくだらない伏線回収に大きな拍手を送りたい。
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