TaiRa

デス・ウィッシュのTaiRaのレビュー・感想・評価

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)
-
やっと実現した『狼よさらば』のリメイク。イーライ・ロスの職人監督としての素質が今までで一番出た作品だと思う。

リメイクに際し、舞台はシカゴになり主人公は医者になった。オリジナルはニューヨークからシカゴに移住して終わるが、この40年程で犯罪率は逆転した 。シカゴで撮られたヴィジランテ映画と言えば『ダークナイト』があるが空撮から入るオープニングなど、何となく影響を感じる。『ダークナイト』自体が『狼よさらば』などのヴィジランテ映画に影響受けてる訳だが。主人公が医者になった事で物語上、妻と娘を襲った犯人への復讐をしやすくなった。そう、オリジナル一作目との決定的な違いは犯人へ復讐する事だな。妻と娘が襲われる場面も比較的ソフトになり、レイプも行われない(描かれないだけかも)。犯人が家に侵入している事に気付くプロセスが良い。目を離した隙にレシピのページがめくれてる、風が吹いている、窓が開いている、床に足跡がある、誰かがいる。生き延びた娘が昏睡状態となる変更は良い。眠り姫の目覚めを待つ父親という構図が童話的なイメージを呼ぶから。銃の扱いが全くの素人というのもこの手の映画に珍しい描写を生む。発砲時にスライドで手を怪我するアクション映画はあまりない。ネットの動画で色々勉強する描写もリアルかつ新鮮。暴力に惹かれる過程や実行に移すまでの葛藤などは、オリジナルに比べて少し薄い。終盤の銃撃アクションの派手さは素直に楽しい。病的で怖い印象がもっと欲しかったかな。ドノフリオが部屋の荒れっぷりを見て、ヤバさを実感するとこは良かった。
TaiRa

TaiRa