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花筐/HANAGATAMIのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
5.0
【亜人・大林宣彦が放った映画はギャルゲーでした】
作る映画全てカルト映画な大林宣彦。彼が余命3ヶ月の中作り上げた作品「花筐」を東京国際映画祭で観てきました。

実はこの「花筐」は大林宣彦デビュー作になる予定だった作品。檀一雄の戦時中の思い出を綴った小説を、当時CM屋として大活躍していた大林宣彦が映画化しようとしたのだが、時は高度経済成長期。皆が戦時中の記憶を忘れたがっていたので実現できず、代わりに「HOUSE」が爆誕した。

そんなお蔵入り企画を、死期が迫る中大林宣彦は撮りあげた。「これを撮らねば、死ねぬ」という想いで撮った結果、余命3ヶ月のフラグもへし折る、ひょっとして大林宣彦、亜人なのでは疑惑も出てくる奇跡が起きた。

閑話休題、正直前半30分は不安だった。ブンブンのオールタイムベストでもある「この空の花 長岡花火物語」のようなキレはないからだ。成熟してしまい、大人しくなった感じがしたからだ。

駄菓子菓子、大林宣彦映画が駄作なワケがなかった。段々と狂気のベールが顕になる。

本作は檀一雄という文豪の名を借りたギャルゲーだ。草彅剛級の狂気と天然さを兼ね持つ檀一雄が、病弱な女、メンヘラ、イケイケ女子、更には半裸ムキムキマッチョに、島田雅彦クリソツな魔性の男からラブゲージを集めていく映画なのだ。そうKanonと大差ないギャルゲー感が凄まじい。そして、そんな世界の主人公を演じた窪塚洋介の演技が道化している。

眼光をかっぴらき、けものフレンズもびっくりポジティブ猪突猛進っぷりに笑いを堪えることができません。そして、TOHOのお姉さんこと山崎紘菜が可愛すぎて発狂しそうになります。

そして、ギャルゲーの世界観を唐津おくんちの鼓動、ビートが観客の中に木霊し、エンディングにいくに従い、ブンブンのスカウターはぶっ壊れてしまいました。

無論、映画作家大林宣彦は大まじめに作っている。戦時中にいた人を映し出す。戦後と戦時中の狭間にある矛盾に対し怒りを込めている。だが、あまりにポップ過ぎて涙が出る程爆笑したし、心を動かされた。

本作はブンブンシネマランキング2017当確案件。12/16有楽町スバル座で公開されるので是非劇場でウォッチしてみてください。

P,S.大林宣彦映画は、長年連れ添った妻やスタッフでも脚本を読んだだけでは映画化できないらしい。編集は大林宣彦自身がやらないといけないらしい。だから、余命3ヶ月のフラグをへし折り本作を作り上げたことに感謝だ。
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