なんじゃこりゃ。
って最初の30分くらい思いました。
主人公はバカみたいだし、映像表現チープだし、ところどころ遊びもあるし。
進んでいくにつれて、時代が戦争に向かうにつれて俄然力強く、その最中だからこその祭りとか屋敷でのパーティとかそこはかとないエロとか、少年たちの短い青春の時間はあとが読めているだけにもう儚くて儚くて夢を見ているよう。
ラストに近づくほど、前半のチャラチャラした場面が生と死の対比としてよく効いてくるのはさすが巨匠。
最後のメッセージまである意味やりたい放題の170分は、こないだみたホドロフスキーと似て、監督の伝えたいことを存分に表現してたのではないでしょうか。いろんな意味でアーティストの映画だったと思います。
そしてひしひしと戦争の愚かさが、生の重みが、そして今の時代の危うさが伝わってきます。
こんな作品大林監督じゃなきゃできないですきっと。
といっても、予算とか時間の関係でしょうか。どうみても合成のシーンが多かったり、バッハのチェロは使いすぎでしょ(意味は後でわかるんだけど)とか、ワイプくどいとかループ使うのヘタとか色々ありましたが、映画見終わったらそれ以上に大林監督の力技の印象の方が強かったです。とにかく最後は力技。表現が強い。
キャストは常盤貴子さん素晴らしかった。ずっと見ていたい。
長塚さんも昭和中期の映画を彷彿させる頭でっかちな書生っぽいセリフが上手くて独特の存在感。
最後に。肝心なとこはちゃんと脱がないと。あれはかなり不自然だなー。もうそんな時代じゃない気がするけどなー。ムリならムリでもうちょい方法なかったかなー。
もったいない。