大道幸之丞

花筐/HANAGATAMIの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

大阪の「シネ・ヌーヴォ」にて本日鑑賞。

ともかくあらゆるカット全てが極端にドラマティックで、画のよう。まるで刻々とせまりつつある出兵を前に残された時間は一秒一秒がまばゆい──とでも伝えたいのだろうか。

ともかく個性的な登場人物。桜の花弁舞い散る冒頭の教室から「ただ事では済まない」予感が漂いはじめる。中でも大林作品「らしい」ものと言えばやはり日本家屋の登場回数の多さで、光と陰に多くを語らせようとしているかのようだ。

見る前には果たして約3時間に及ぶ長尺に不安もあったが、基本スライドインによる場面転換でテンポはよくあっという間であった。迫る戦火=死と肺病で残りわずな命の美那が「逃げおおせぬ死」を否応なしに見る者に突きつける。

この作品は戦争の悲惨を映画を通じ伝え続けている大林監督にとっての『ゲルニカ』なのであろうか。