春21号

花筐/HANAGATAMIの春21号のレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
4.5
戦争の影が忍び寄るそんな時代を生きた魂達の物語

もう流石としか言いようが無いというかこれは大林ファンでも期待以上の世界が待っていたんじゃ無いだろうかとにかく凄まじい程の映像世界と物語的厚みがあってどの瞬間も息を飲むというか
これを見過ごすのは非常にまずい何故日本の映画会社はこの作品をもっとフィーチャーしなかったのか?
劇場館をもっと増やすべきだろう

戦争がもうそこまで迫っている。
そんな時にイッショケンメにそれぞれ生きた若者達
それはかつて日本に確かにあった魂のあり方を体現している。
時代に翻弄されながそこに燃ゆる正義や屈託のないイノセントな魂は確かにもがき生きていたのだ。
そしてそれは戦争によって失われてしまったのだ。
それは無念なんだ。
この映画が描いているのは色々とあるだろうが何よりも無念だろう。
戦争の影が見えると同時に死に向かいそして最後は1人悲鳴を上げて散っていった何よりも綺麗な魂が象徴するあの姿はまさに無念なのである。
戦争が無ければ今もあるはずの魂達が時代と共に生きたが為に今は失われてしまった。

では1人生き残った魂もといい大林監督もといい…は何故生き残ったのか?
それはきっと時代をみつめてはいたが時代の中にはいなかった。1人正気の世界で生きたからでは無いだろうか?
そんな魂が最後に語りかける君達はどう翔ぶ?という問いに私達は答えていかなければならない

この映画はある時代を描いてはいるがある時代に取り残されるものでは無いときっぱりとopで断言している。
ならばこれは正気が描いた無念の映画ということになろう

さて僕は
春21号

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