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花筐/HANAGATAMIのiroのレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
3.5
例えば独特の色彩感覚やカット割り、戦時中ということを多分に意識させる台詞回し、幻想的という以上にアバンギャルドな雰囲気等々、冒頭からしばらくは好き嫌いが分かれるかもしれません。

ただ、物語が進むごとに、徐々にその魅力(あるいは魔力)に引き込まれていくと思います。

いわゆる「反戦」をテーマにした作品は数多くありますが、この作品は直接に銃撃や爆撃で戦争の悲惨さを訴えたり、あるいは人間の狂気を陰惨に描いたりはしていません。

そうではなくこの映画は、普通の若者達の日常が徐々に戦争の暗闇に染まり、ついには喪失される、その「直前」までを描くことで、ある種変化球的に平和の尊さを伝えてくれています。

窪塚俊介演じる無邪気な帰国子女の主人公、俊彦や病弱の可憐なヒロイン、美那の笑顔がまぶしいからこそ、鑑賞後の切なさが引き立つ、そういった作品です。
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