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カランコエの花のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
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犯人捜しと糾弾はこの作品の意図ではないとは思うが、登場人物すべてにLGBTQについての知識と配慮があればと思う。さまざまな議論ができる優れた教材。

それとは別に、私は女子校出身なので、女性の先輩に憧れたり、後輩から慕われたり(宝塚的な)がわりと日常の環境だった。それは憧れから淡い恋心まで、もしかしたら性愛もあったかもしれないが恋心には濃淡があり、その線引きをLGBTQの枠組みでできるかというと難しいんじゃないかと思う。どこまでが、その枠組みに入るのか。憧れの先輩と同じ髪型にしたり、制服の着崩し方を真似たり、二人きりの誕生会に招かれたり、男装風に着こなしたり、素敵な女性のために詩を書いたり、映画のようにお菓子を作ったり、それぞれが大好きな女性のためにアプローチしていた。卒業後もそうやって慕っていた人もいたのだろうが、たいていの人は一過性のものだったと思う。

映画の中の桜も、もしかしたらそうだったんじゃないかなと。ほのかな憧れや恋心に突然それを他人に定義されたり断言された日には、大切に育んでいる気持ちを傷つけられただけでなく、特別視されたことで疎外感を感じるのは当然だろう。

恋心は憧れから性愛までに濃淡がある。同性に感じるもの全てをLGBTQとしてとらえるのもおかしいと思うし、そもそも何か定義して分けなければならないものなのか、とも思う。

昨今の風潮もそう感じる。

誰を好きになろうが個人的なことである。問題は戸籍と、結婚して法的に権利を守れるか。
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