まりぃくりすてぃ

カランコエの花のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
5.0
嘘臭くない。
良いよ。
カメラ揺れるから減点しようか迷ったけど、内容が良すぎて許す。一番揺れてたシーンは人物がちょうど泣きべそかくところだったから、結果alright。

中川監督のこれの前年作『尊く厳かな死』のベタ脚本がmyトラウマになってたしLGBTにあんま興味ないから当初観るまいだったけど、予告編でヒールキャラとして小気味よさげだった笠松将さんだけを楽しむつもりで。
そしたら、あまりの嘘臭くなさに、高校生役ら出演者全員を尊敬したくなった! 『尊く──』でも主要役者全員を順々にガチ泣き(意欲不充分だったイワゴウさんをも脅してまでも)させてたとおり、中川監督は演技指導力(または突き放し力)ある。台詞の活き度も、章割り区切りのまじめさも、物静かでエモい締め方も、ぜんぶ満点。撮影以外はほんとに。美桜さんも有佐さんも実優さんも春菜さんもほかも、素敵。「イケメンティーチャーは数学はだめ。やっぱ物理じゃないと」に私も一票!
後半、涙、けっこう滲んだ。
もっかい観たい、たてつづけに、と思った。ヒロインに焦点当てすぎず周囲おのおのがちょっとずつ中心らしきものを探して包み、“まなざし演技”多いから、短尺なのに広がり充分っぽく作品として全然物足りなくない。それでいてリピしたくなる短さが、若さ映画のお手本。


で、社会問題としてのLGBTにはそんなに興味ない。
なぜかっていうと、好きになる対象がどんな人であるかよりも、「リア充か/侘しいお独りか」のがよほど重大だから。伴侶が同性だろうが異民族だろうが異教徒だろうが異星人だろうが、「love」と呼べる相手がいるかいないかこそが最重大だから。

ちなみに、うちの兄は、4、5才の頃、本気でひらがなに恋をしてたという。しかもひらがなたちは兄の心の中ではみんな男だったという。初恋の対象であるひらがなは「い」「え」「さ」「せ」「つ」「ひ」「む」「や」「ゆ」「よ」「ら」「り」「る」「ろ」たちであり、嫌悪対象は「あ」とか「か」とか「ぬ」とかだったという。超絶美男子の「ら」や「り」が醜い「あ」や「か」に痛めつけられて苦悶する様子を当時幼稚園入園前だった兄は毎日ひらがなブロックをかちゃかちゃいじくってブロック同士を戦わせたりしながら想像しまくり、ちょっとオチンチン立つこともあったそうな。(ちなみに、以後は異性ばかりに恋し、今は結婚してます。)
私の方は、そういう面白いエピはないが、大学時代に親友女子からとっても好いてもらったついでに「あたし、マリとならキスできるし、裸で抱き合えるよ」とまで言ってもらえたことがある。が、私はさすがに、相手にも生理があると思うとゾッとして、硬い顔で「ありがとう。でもあたしはエッチまではできないな」だけ言っておいた。

ちなみに、転職前の職場に、ゲイの男性社員が三人もいた。ロリ男性も一人、スカトロ男性も一人いた。そういうふうにあまりにも個性カラフルだったために、世の中いろんな人がいるのが当たり前じゃんと私は学習済みだ。そういうわけで、犯罪や迫害に話が及ばない限り、嗜好は個人個人のまったくの自由と思う。