emily

ブルー・バタフライのemilyのレビュー・感想・評価

ブルー・バタフライ(2014年製作の映画)
3.6

義父から虐待を受けていたヤズはお酒とドラッグに溺れ、廃墟で退廃的な暮らしをしていた。一方ヤズを守るため罪を犯して仮出所中の義兄のマニーはヤズを支えようとするが、それがすべて裏目に出てしまう。そんな彼を見守るのは保護観察官のブレナーはマニーに自分の息子を重ね、マニーの未来のためヤグを引き離そうとする。。

モノクロ、カラー、セピアを巧みに操り、過去のイメージ像と現在をスタイリッシュに交差させキリキリと心情によりそう音楽が包み込む。幸せだった時間もある。だから心に刻まれた傷を自分を傷つけることでなんとか生きていこうとしてるヤズ。彼女を救いたいマニーと、マニーを救いたいブレナー、それぞれの思いが複雑に絡み合い、思いに反する行動と、罪悪感を誰かで埋めようとするそれぞれの葛藤がしっかり交差する。

マニーの目に映るヤズは時折女性らしく色気を感じさせる。わかっていながらどうしようもできない。恋に翻弄され、何をされても結局許してしまう。その合間を抜けるように激走していくヤズの姿は痛みを伴い、言動のすべてに叫びを感じさせる。ただ愛されたかった。ただやさしくされたかった。残るのは空虚ではなく一筋の光に思える。囚われてきたものを拭い去ることはできない。それとともに生きていくしかないのだ。
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