Aya

マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年のAyaのレビュー・感想・評価

3.4
私が大人になったら持ちたかった装飾品。

チュードルのデカバラとマノロ・ブラニクのメリー・ジェーン。

まあそこそこいい大人になった現在、どっちも手にいれてないんですけどw

ファッション・ピープルではないけど、ハイヒール好きですね。
踵が上がると同時に気持ちもふっと上がる気がする。

自分の中で決めていることがあって。
どんなに歩いても自分から「足が痛い」とは言わない。
なら、履くなよ、って話なので。

たまに「何でそんなヒール高いの履くの?」って言われますが、履きたいからですね。
それ以外の理由がいるのか?

そんな私の憧れブランド。

試着したことしかないマノロ・ブラニクがどんな人か?なんて考えたことなかったよw
700〜800ドルくらいで買えるイメージだったのですが、今1000ドルを軽く超えるのね!!

どう考えてもこの映画で描かれるマノロ・ブラニク本人以外の力学が働いてるとしか思えない。
付加価値・・・それがブランド・・・。

マノロ・ブラニクってスペインの人なんですね。
マノロだからそうか。
英語はブリテイッシュアクセントなのかな?大変聞きやすかったです。フランス語もとても上手だと思った。

ていうか若い時のマノロ・ブラニクめちゃくちゃイケメンなんですよ!!
ヴォーグの表紙を飾ったこともあるくらいのハンサム×フォーマルファッションの騎士。

60年代のロンドンでパロマ・ピカソと遊んでいて、NYに行った際に当時のアメリカ版ヴォーグの編集長ダイアナ・ヴリーランドに才能を認められたことから靴を作り始めたんだとか。

てかパロマ・ピカソって女性だったのねw
学生時代はティファニーのパロマ・ピカソのシリーズ大好きでしたね。
ほとんど手元に残ってないのがアクセサリーの不思議・・・。

マノロ・ブラニクといえばやはり洗練されたスケッチとそれを実際に作って、人に履かせて歩かせてしまうマジック。

絵がめちゃくちゃうまい。
しかも作画がめちゃ速い。
そして自身で一足作り、それが量産されるという。
全部手作りとはいえ、もうちょっと価格をなんとかしてくれませんか?!

とても可愛くて面白いデザインが多いのに15万円の靴をそう易々と買える層ではないんです!!

マノロ・ブラニク自身はかなり素朴というか尖ったところの一切ないおじいちゃん。
庭師に憧れシチリアでボツボツと過ごす休日。
ランペドゥーサをこよなく愛し、各セレブ達、というよりは美しい女性達と仲良くギリシャ彫刻に造詣が深い。

角が立ちそうなことは絶対言わない。
多分これ撮ってる側は何かもっと見たことないマノロ・ブラニクを暴きたい、と思って企画立てたと思うんですよ。
途中で意地悪な質問しますね。
「マノロ・ブラニクを一番うまく履きこなした女性は?」
(この程度が精一杯)

答えはこう
「そこの近くの駅で見つけた女性。年配の女性で髪はブロンド。後ろに束ねていてローヒルだった。とてもうまく履きこなしていて印象に残ってる」
誰の名前も出さないんだよ!

ダイアナ妃でもリリコでもキキコでもアナ・ウィンターでもソフィア・コッポラでもない。
(みんな出てきます)

ここまで温厚な年配のクリエイターと一緒にいたら、こちらも物腰が柔らかくなってしまうのもわかるわ・・・。
本人は自身を芸術家的な立ち位置にいるとは思ってなくて、一職人として日々ボツボツと仕事してる。
愛らしいですね。

マノロ・ブラニクの靴も最初に開いたお店から、映画や個人のための特注品まで惜しみなく見せてくれる。
各美しいイタリアやロンドン、NYの風景に溶け込むかのごとく撮影されるので、ものすごくセキュリティーの厳しそうな現場だな、と思いましたw

あと、ジョン・ガリアーノが嬉々としながらチラッと出てきますが、あのアナ・ウィンターがめちゃくちゃ説明しにくい、みたいな感じで言葉を濁してたのが印象的でしたw

これ系のファッション映画って一定頻度で来ますね。もうすぐ「ドリス・ヴァン・ノッテン」もあるし。



日本語字幕:田中和香子
Aya

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