銀色のファクシミリ

あみこの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

あみこ(2017年製作の映画)
3.5
『あみこ』(2018/日)
高崎映画祭、鑑賞7作品目。シニカルの剣とニヒルの鎧を装備して、長野で高校生活を送っている、あみこの物語。初期作品らしい粗削りさと、むき出しの主張。でもそれがいい。初期だからこそ出る作品の味。映画に限らず、あると思います。

山中瑶子監督の初監督作品。上映後の舞台挨拶でうかがった、キャストはツイッターでDMを送って集めたというエピソードが尖っていて素敵すぎ。影響を受けた監督さんのような作品を目指していたが、そうはならなかったとも。でもそうならないところがオリジナリティなのだと思います。

作品感想。シニカルの剣で、世の中も、同級生も、OGも、友人も、自分の人生すら切っていく、あみこ。でも出会ってしまった運命の人、アオミくんは別。自分と同じくレディオヘッドを聴く特別な存在だと知り、ついには彼を追って旅立つ。
長野県ベスト8級の行動力は、物語を現実と空想の狭間にまで連れて行ってしまう。虚実入り混じった世界で真実と現実を見るあみこ。印象的なシーンは電車である人の寝顔を見るところ。冷笑でも憐憫でもなく、ただ人生というものを見つめる瞳。奇抜なだけの映画じゃないです。エンドロールは超早いけど。感想オシマイ。
(2019年4月5日感想)