【善悪の境界線の区別は人間に可能なのか】
父が自殺した。真相を追及する内、男は心の迷宮に踏み込んでしまう。観る人すべての倫理観を揺るがす憂いのノワールドラマ。
山田孝之さんが初めてプロデュースしたことで話題の『デイアンドナイト』は、無自覚なうちに抱え込む”心の闇”をテーマにした、実に骨太な作品でした。
テーマをセリフに託しすぎていて、道徳ビデオのようになっているのは、若干気になるところ。
しかし、答えを観客に委ねる問題提起型ドラマとして徹底されていて、作り手たちの真摯な姿勢が伺え好印象。
キャストも適材適所で、見応えもあります。
オリジナル版『恐怖の報酬』を彷彿とさせるクライマックスは、思わず前のめりになるど迫力。田中哲司さんはやっぱり凄い!
鑑賞後、朝まで語り合いたくなる人間ドラマでした。率直に意見交換のできる友人や家族とご覧になるのをオススメします。
※エンディングテーマは清原果耶さんが歌っていて、役名の大野奈々名義。これだけは納得いきませんでした。奈々は歌手・歌手志望という設定ではありません。なのになぜ奈々名義なのか? 骨太な社会派ドラマに、アイドル映画的仕掛けはそぐわないですよ。