タイトル通りの光と影の描写が凄まじく美しく、映像美がとにかく圧倒的。光の入り方、連なる鳥の形、空、秋田の空気、そこで生き、復讐や、やるせなさや、孤独や、正義や、家族とは。様々な思いは善であり、角度を変えてみると許しがたき悪でもあり。そんな陰陽、善悪を、昼と夜としたタイトルのセンス。何度も言うが映像の美しさ。藤井監督の他作品も今後観てみようと思います。
内容は暗～いので、気分では無い時に観ると退屈に感じることは否めませんが、私はこれを観る前に山田孝之さんのドキュメンタリーを観てからだったので、純粋にこの作品を観るというより、ひとつの映画が完成された思いとか、作り手の苦労のようなものを感じながら観てしまった。それはただ映画を観ることと比べると、ある種邪念的かもしれないけれど、私にとってはほとんど無いことだったので、新鮮でもありました。
声をかけてくれた孝之の気持ちに応えたいなと思って、という安藤政信さんの圧倒的演技力と人柄。凄い。
よくぞオーディションを受けてくれましたのこれまた圧倒的10代、清原果耶ちゃんは天才過ぎて言葉も出ない。透明感、存在感、演技力、全てが唯一無二のオルタナ感。こんな子がいたんだとオーディション時に山田さんが涙を流すだけのことは（撮影時、果耶ちゃんが食べたいと言った羊羹を買いに行っちゃうだけのことは）ある。素晴らしすぎて、この作品、全部彼女が持ってっちゃったと言っても過言ではない。
もう存在感がやばい田中哲司さんは、あのパンパンな顔と身体付きで殴りかかっても勝てる気しないすし、策士具合もあって、本当に何を演じてもおっかない。素晴らしい。
うっせぇな～ と思ったら、やっぱり佐津川愛美。笑
声がうるさいんすよね。めちゃ役どころ合ってましたよ。（褒め）
地味に絶対的安定の深水元基さん出てて、だいぶ嬉しかった。
そしてそして、阿部進之介さん。いや～良かったです。クローズZERO2で鈴蘭の頭やってた時とは違う陰り感。演技素晴らしかったし、田中哲司さんにも安藤政信さんにも全然負けてないというか、ちゃんと明石がそこにいた。凄く良かったです。間合いとか空気感とか、目とか。もっともっと活躍して欲しいです。
トータルとしては、善と悪とは、といういわゆる考えさせられる系な内容なのですが、映像美と演技力を一作品として見るという見方もでき、またエンドロールの清原果耶ちゃん演じるななとしての歌声の素晴らしさで、ちょっと久々に人に勧めたくなる作品でした。
