じゅんP

ぼくらと、ぼくらの闇のじゅんPのレビュー・感想・評価

ぼくらと、ぼくらの闇(2017年製作の映画)
5.0
日本刀が切り裂く友情。

《いつも2人でつるんでいる高校生のザックとジョシュ。同級生のダリル、ダリルのツレの中学生チャーリーと共にジョシュの家で遊んでいると、ジョシュが兄貴の日本刀を持ち出してくる。大興奮で切れ味を楽しんでいた4人だったが…》

教室で瀕死の鹿が映し出されるオープニングからして不穏。

彼らの日常から垣間見える、鬱屈としたモヤモヤ。
どこかで爆発してしまうんじゃないかという、危うさと予感が極に達したところで、子供の悪ふざけが目も当てられない大惨事に。

その後のザックは、疑心と不安の重圧に押し潰され、好意を抱いていたアリソンに言い寄られても気が気じゃなく、日常も友情も音を立てて崩れ…

”生きた”人間が刻まれた、話の面白さもさることながら、見せ方が巧くて惹き込まれる。
シーンとシーンが、全体の繋がりを想起させるカットで繋がれていたり、空の色が状況とリンクしていたり、視覚で物語る演出が豊か。
日常がじわじわと非日常に侵されていく恐怖が、画の中に丹念に仕込まれていた。

性のことで埋め尽くされた思春期真っ只中の頭に押し寄せる、どす黒い死。
深く大きな暗黒面に飲み込まれた脳内は情動に支配され、ザックもジョシュもどんどん視野を狭めていく。やがては互いのことも…

作り手に良いように振り回され、どう着地するのか焦らしに焦らされ、湧き上がる興味を最後はしっかりと堕としてくれる。

原題どおりの『Super Dark Times』。
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