Yuuki

ぼくらと、ぼくらの闇のYuukiのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくらと、ぼくらの闇(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

陰キャラのザックとジョシュは親友同士。ある日、クラスメイト含めた4人で遊んでいたら、些細な口論の果てにジョシュが友人の一人を殺してしまう。やばい…。しかし、ザック達はその死体を隠すことにした。以来、ザックは人殺しに加担した罪悪感と、いつバレるかも分からない不安感に苛まれる…そして当人ジョシュの胸中は?

これ、暗く重く救いが無いんだけど、実に良い…。殺人を隠蔽したごく普通の高校生の心が闇に支配されていき、やがて親友同士だったジョシュとの絆も崩壊していくという最悪な話ながら、その描写がとてもリアルで丁寧でめちゃめちゃ感情移入できました。誰しもこういう「他のことが何も手に付かないほどの不安」というのは一度は経験したことあるもんね…。しかもその不安が殺人というでかすぎるもんだからもう…

で、さらに面白くしてくれるのがザックの想い人アリソンちゃん。めちゃめちゃ可愛いしいい子でザックが好きで密かに両思いで、さらにアリソンちゃんの方からザックの家に突撃したり誕生日パーティーに誘ったり電話番号教えたりと、最高に積極的にグイグイせめてくるんですよ。でもザックは人殺しに加担して気が気じゃなさ過ぎるので、せっかくのアプローチも思いっきり棒に振ってしまう!おい!千載一遇のチャンスやぞ!!と思うんですが、人殺しがバレて未来が終わる不安がのしかかってるので、う…つらすぎる…幸あれ…と私は嘆くしかなかったのです…ここが見ててつらかったな〜。しかもザック母もめちゃキレイで優しく息子を愛しまくっており、その人達を裏切っている…という罪悪感もひとしお

物語は死体を隠すことを提案したザック視点からのみ展開し、本当の闇を抱えているであろう殺した側のジョシュの胸中がほとんど分からないのもまた見ものでした。ザックの時点でここまでつらいんだから、当のジョシュの気持ちを想像するともう…つらい…さらにつらい…。誰にも想像できない果ての行動も共感できそうでできないという悲しさよ。いや〜実によかった。時代は携帯電話もSNSもない80年代というのもミソで、情報伝達の手段が少なくて「何がどこまでバレているのか」がほとんど分からないという状況も閉塞感があって時代設定もうまいなと思いました。原題も割とふざけてるけどたしかに「スーパーダークタイムや…」となりますね
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