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ぼくらと、ぼくらの闇のマーチのレビュー・感想・評価

ぼくらと、ぼくらの闇(2017年製作の映画)
3.8
邦題微妙ですが、あながち間違いではないんですよ。

見てくださいこのジャケット! 凄くいいですよね!! 暗闇に懐中電灯🔦を向ける3人の少年たち。
『Super Dark Times』という原題も最高!
原題とジャケットの雰囲気100点!!


【レビュー】

《青春はいつだって残酷だ》

光なんて差し込まないし、差し込もうとする光の可能性までもを拒絶する深く暗い闇。その闇に焦点を当てた青春崩壊録が今作である。さながら闇(病み)の映画。

「ひょんなことから友達のダリルを日本刀で刺し殺してしまったジョシュ。そこに居合わせたジョシュの親友ザックは、事件の隠蔽を提案するが…」というストーリー。
こういったプロットの場合は事件の当事者であるジョシュの目線で描かれることが多いと思うが、今作は違う。事件の目撃者(傍観者)であるザック目線で展開されるのだ。

その事件をきっかけに崩れていく2人の友情や平穏だった日々。ジョシュは家に引きこもり、ザックは周りの目や噂が気になって仕方がなくなってしまう。
警察に段々詰められいくといったよくあるスタイルではなく、事件を発端に闇へと引きずり込まれていくさまを徹底的に描いており、母から注がれる愛情にどっちつかずになったり、好きな子からの積極的なアプローチにもあと一歩のところで避けてしまったりと、犯してしまった罪の重さが日々増大し、徐々に広がる闇へと主人公は飲み込まれていく。
時に印象的で突飛な演出を交えながらホラーサスペンステイストでストーリーは展開し、最大の闇が開花するラストへと流れ込んでいく…加担したザックでも気が気でなくなるほど滅入るのだから、実はがっつり描かれていないジョシュは裏でどれほどの闇を膨らませていたのか。終わってからジョシュ側の葛藤についても少し考えてしまった。

中条あやみ似の美人アリソンとザックの恋路に、毎回「あー😩」と思わず声を出してしまいそうになるほどモドカシイ気持ちにさせられた…「なんだ、あのキス💋は! そこまで近付いておいてどうしてその一歩が踏み込めないんだ!!」と。笑
ただ勿論そのザックの行動にも合点のいく内容にはなっていて、彼自身恋どころではなかったんだと思う。それ以外に考えることや怖れを感じることが多すぎて、中途半端な気持ちでアリソンと向き合う気にもなれなかったんだろうな…やはり「あの一件さえ無ければ」と思わずにはいられない。

奇声の入ったホラー演出だったり、闇の積もらせ方だったり、乾いた空気感漂う雰囲気作りだったり、時代設定が今より断然閉鎖的で閑散としていたりと一々チョイスが素晴らしく、突き抜けるほどの怖さや面白さはあまり無いものの、とにかく丁寧に青春の平穏な日々の崩壊、または友情の滑落を描いている非常に誠実な作品。

最後にザックのその後が観たかったりもしたけれど、冒頭との関連付けという意味ではあのラストが正解だったのかな…それにしても冒頭の鹿🦌のくだりの時点でジョシュの闇を仄めかしていたのだとしたら怖過ぎるぞこれ。


【p.s.】
「過失なんだから警察に届ければ分かってもらえるよ」とも思ったけど、そういう話じゃないんだよな〜安直に罪を隠したことの罪、反省し、悔い改めないことを選んだ罪、ダークサイドに落ちるとはそういうことなんだろうね。それこそが「ぼくらと、ぼくらの闇」なんだよね、きっと。

はい、ということで割と自分好みのテイストの作品だったということと、描かれている重苦しい内容からあまり纏まり切らず、破茶滅茶でなぜか途中から口調が変わるヘンテコなレビューになっている感じもしますが、まあ皆さん観ていただければ分かると思うので、是非今作を観てください!
Netflixにて、現在配信中です♪


【映画情報】
上映時間:100分
2017年/アメリカ🇺🇸
監督:ケヴィン・フィリップス
出演:オーウェン・チャンベル
チャーリー・ターハン
エリザベス・カプチーノ 他
概要:ある悲惨な事故をきっかけに仲違い
した10代の少年2人。親友というか
けがえのない存在のはずだった…で
も今、恐怖と狂気が2人の絆を引き
裂いていく。
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